2023-11

2023・11・1(水)セミョン・ビシュコフ指揮チェコ・フィル

      サントリーホール  7時

 チェコ・フィル、4年ぶりの来日。今回はサントリーホールで3回、みなとみらいホールで1回、というだけの日程のようである。4回とも全ドヴォルジャーク・プロということで、今日は序曲「自然の中で」と「ヴァイオリン協奏曲」、「新世界交響曲」が組まれている。うちサントリーホール公演ではソリストが日替わり出演、今日はギル・シャハムが登場した。

 前回の来日公演(☞2019年10月28日)は、セミョン・ビシュコフが音楽監督・首席指揮者に就任した直後の時期だった。あれから両者の呼吸も合って来たのか、それともビシュコフが成長してチェコ・フィルの伝統的な音色を尊重することができるようになったのか、とにかく演奏スタイルはかなり変わったように思われる。

 「自然の中で」では演奏も少々荒っぽかったが、「新世界交響曲」で聴かせたビシュコフとチェコ・フィルの演奏は、久しぶりでこの曲の本来の美しさを再現してくれた快演だったと言ってもいいだろう。
 最も印象的だったのは、「チェコ・フィルの弦」がまた蘇っていたこと。それは往年のカレル・アンチェルらチェコの名指揮者たちの時代のそれとは大きく異なる種のものではあるものの、トゥッティには豊かな膨らみがあり、ヴィオラなど内声部の動きと、チェロやコントラバスの低音弦の動きなどが、まるで大きな空間に木霊するようにたっぷりと響いていたことだ。そのため音楽全体にいっそう厚みが出て、素晴らしく多彩になっていた。すべての主題が、豊かなハーモニーの中で流れて行く。
 ドヴォルジャークは本当に何という美しい魅力的な音楽を書いたのだろう、と、改めて強い感銘を受けた━━ブラームスが羨んだのも尤も至極だ、と。

 「ヴァイオリン協奏曲」でのギル・シャハムとの顔合わせは、今日だけだったようだが、リハーサルの時間はどのくらいあったのかしらん? 彼のソロは、相変わらず魅力的である。なお彼は、ソロ・アンコールとして、スコット・ウィーラーの「アイソレーション・ラグ」という小品を弾いてくれた。
 一方チェコ・フィルは、ホ短調の「新世界交響曲」のあと、アンコールにお定まりのホ短調のドヴォルジャークの「スラヴ舞曲Op.72-2」と、さらにブラームスの「ハンガリー舞曲第5番」を演奏した。終演は9時25分頃になった。

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