2023・11・9(木)内田光子とマーラー・チェンバー・オーケストラ(2)
サントリーホール 7時
内田光子がソロを弾くモーツァルトのピアノ協奏曲は、今日は「第17番ト長調K.453」と「第22番変ホ長調K.482」。その間にオーケストラだけでイェルク・ヴィトマン(1973~)の「弦楽四重奏曲第2番《コラール四重奏曲》」の室内オーケストラ用編曲版が演奏された。
プログラムの最後に内田光子がアンコールとして演奏したのは、モーツァルトの「ソナタ第10番ハ長調K.330」第2楽章。
「K.453」が彼女の指揮で開始された瞬間、オーケストラのあまりにもなだらかな、平板とも言えるような音に、首をひねる。彼女のピアノそのものは決して平板ではないのだから、いっそオーケストラの自主性に任せておいたら如何、とまで考えてしまう。だが意外なことに、第3楽章のアレグレットに入ると、音楽は突然活気を帯び始めて美しくなった。
一方、「K.482」では、音楽が冒頭から威容を以て聳え立ち(先日の川崎での「ハ長調」がどうしてこういう音楽にならなかったのかと不思議でならない)、それゆえ内田光子のソロとの「調和を保った対照」が見事に実現していたのである。
ヴィトマンの「コラール四重奏曲」の管弦楽編曲版は、これが日本初演の由。ステージ上に弦楽オーケストラが位置し、客席の上手側と下手側及び後方に僅かな管楽器が点在するという配置で演奏されたこの曲。最弱音で断片的に聞こえはじめる冒頭のコラール主題、そこからゆっくりと時間をかけて高潮して行く音楽の、突き詰めた緊張感の魅力。これも、このマーラー・チェンバー・オーケストラの本領を発揮する印象的な演奏になった。
内田光子がソロを弾くモーツァルトのピアノ協奏曲は、今日は「第17番ト長調K.453」と「第22番変ホ長調K.482」。その間にオーケストラだけでイェルク・ヴィトマン(1973~)の「弦楽四重奏曲第2番《コラール四重奏曲》」の室内オーケストラ用編曲版が演奏された。
プログラムの最後に内田光子がアンコールとして演奏したのは、モーツァルトの「ソナタ第10番ハ長調K.330」第2楽章。
「K.453」が彼女の指揮で開始された瞬間、オーケストラのあまりにもなだらかな、平板とも言えるような音に、首をひねる。彼女のピアノそのものは決して平板ではないのだから、いっそオーケストラの自主性に任せておいたら如何、とまで考えてしまう。だが意外なことに、第3楽章のアレグレットに入ると、音楽は突然活気を帯び始めて美しくなった。
一方、「K.482」では、音楽が冒頭から威容を以て聳え立ち(先日の川崎での「ハ長調」がどうしてこういう音楽にならなかったのかと不思議でならない)、それゆえ内田光子のソロとの「調和を保った対照」が見事に実現していたのである。
ヴィトマンの「コラール四重奏曲」の管弦楽編曲版は、これが日本初演の由。ステージ上に弦楽オーケストラが位置し、客席の上手側と下手側及び後方に僅かな管楽器が点在するという配置で演奏されたこの曲。最弱音で断片的に聞こえはじめる冒頭のコラール主題、そこからゆっくりと時間をかけて高潮して行く音楽の、突き詰めた緊張感の魅力。これも、このマーラー・チェンバー・オーケストラの本領を発揮する印象的な演奏になった。