2023-11

2023・11・23(木)東京二期会制作 ヘンツェ:「午後の曳航」

       日生劇場  5時

 三島由紀夫の原作にハンス・ヴェルナー・ヘンツェが作曲したオペラ。
 2003年に、ゲルト・アルブレヒト指揮読響によりセミステージ形式で日本初演されているはずなのだが、私にはどうもその時の記憶がはっきりしない。いずれにせよ、今回のものは、改訂ドイツ語版による日本初の舞台上演ということになる。

 指揮はアレホ・ペレス、管弦楽は新日本フィルハーモニー交響楽団、演出は宮本亜門、舞台美術はクリストファー・ヘッツァー。
 26日までのダブルキャスト4回公演の今日は初日で、出演は山本耕平(登)、林正子(彼の母、黒田房子)、与那城敬(塩崎竜二)、友清崇(1号)、久保法之(2号)、菅原洋平(4号)、北川辰彦(5号)、市川浩平(航海士)ほか、12人のダンサーたち。

 少年(登)が母に対して抱く愛のような感情、英雄視していた航海士の塩崎が新しい父親となったことへの嫉妬、そして彼が次第に英雄としての輝きを失って行くことに対して起こる軽蔑と憎しみ、不良グループに唆されて突き進む父親殺し━━といった、暗いけれども心理描写に富むストーリーなのだが、これを宮本亜門が実に明快に描き出した。

 黒子により素早く処理される舞台装置の転換の中に、細微な演技がスピーディに展開され、ダンサーたちの激しい動きがストーリーに緊張感を添える。まるでよく出来たブロードウェイ・ミュージカルのような快速の舞台だ。宮本亜門ファンの私としては、彼がまたしても見事にやってくれたな、という印象を持つのだが、いかがだろうか。文字や墨彩を鮮やかに投映した映像演出(バルテック・マシアス)も面白い。

 そして何より、新日本フィルを指揮して、このヘンツェの複雑極まる音楽を手際よく再現したアレホ・ペレスの指揮がよかった。アルゼンチン出身のこの若い指揮者は、これまでにも「ファウスト」や「魔弾の射手」、読響との演奏会などをいくつか聴いて来たが、いつも水際立った指揮だなと感心させられる(但し今春の新国立劇場の「タンホイザー」はどうも感心しなかったが、あれは使用の楽譜のカットだらけの版にぺレスが共感していなかったのではないかという気もする)。
 歌手陣、ダンサーたち、みんな好演。

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