2024-02

2011・3・26(土)沼尻竜典指揮群馬交響楽団 東京公演

   すみだトリフォニーホール  3時

 「地方都市オーケストラ・フェスティバル」は中止されたが、「特別参加」だった群馬交響楽団は、これを単独の東京公演に切り替え、「震災復興支援」として、同じホールで同じ時間に演奏会を開催した。
 指揮は、当初予定されていたカール=ハインツ・シュテフェンスが来られなくなったため、首席指揮者&芸術アドヴァイザーの沼尻竜典が急遽受け持つことになった。

 最近注目されているシュテフェンスを聴けないのは残念ではあるが、しかし沼尻が指揮してくれたことは、これはこれで僥倖であった。昨年から群響のポストに就いている彼が、東京でこのオケとの協演を聴かせるのは、多分これが初めてではないかと思われるからである。

 プログラムは当初の予定と変らず、ドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」、小菅優をソリストに迎えてのベートーヴェンの「ピアノ協奏曲第4番」、それにブラームスの「交響曲第2番」。

 一聴して強く印象づけられたのは、特にブラームスの交響曲において、この群響が既に沼尻のカラーを明確に反映していることであった。
 それはかつての音楽監督・高関健の時代に群響が聴かせていたような、がっしりと堅固に構築されたシリアスな音楽とは違って、もう少しのびやかで初々しい表情を感じさせる演奏である。沼尻らしく端整で精密な音楽づくりではあるものの、そこにはある種の爽やかさがあり、弦の音色などにはすっきりした透明な感覚も漂っていて、ブラームスの音楽の中にある若々しい息づきのようなものが浮彫りにされているように思える。
 とりわけ第2楽章は、緻密かつ瑞々しい音の交錯が美しい叙情を織りなしていて、絶品であった。音たちが精妙に揺れ動く第3楽章も、それに次ぐだろう。

 高関が去ったあとの群響がどのような方向をたどるのか、一時はちょっと気になることもあったが、新たにこのような新鮮な個性を備えるにいたっているのなら、今後に大きな楽しみを抱かせるというものだ。

 小菅のベートーヴェンの「4番」を聴くのは、これでたしか3度目だ(何でこればかり?)。ノリントン指揮シュトゥットガルト放送響との協演では、ノリントンに付き合ってか、大胆な即興性をも交えた演奏を聴かせてくれた。山田和樹指揮サイトウ・キネン・オーケストラとの協演では、非常に沈潜したスタイルの演奏だった。
 今日の沼尻=群響との協演は、その中間を行くオーソドックスな、しかし強い意志力を備えた演奏と言ったらいいか。

 コンサートの冒頭には、大震災の犠牲者を偲んでバッハの「アリア」が演奏され、黙祷も行なわれた。このため終演時刻は、5時15分頃まで延びた。ただちに次の演奏会、東京響を聴くために、サントリーホールに向かう。

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