2024-03

2011・9・8(木)第14回(2011年)チャイコフスキー国際コンクール優勝者ガラ・コンサート

   サントリーホール  7時

 厳密に言えば、第3位の人も入っているし、1位なしの2位(最高位)の人もいるので、「上位入賞者」ガラということになるが、それではPRになるまいから、まあ何でもよい。全チャイコフスキー・プログラムで、協演は高関健指揮東京交響楽団。

 まず登場したのが声楽部門・女声第3位のエレ-ナ・グーセワ(ソプラノ、25歳)で、「エフゲニー・オネーギン」から「手紙の場」を歌った。
 ふくらみのある美しい声で、ロシアの歌手がロシア・オペラを歌う時特有の粘り気のある音程の動きによりタチヤーナの揺れ動く感情を歌い上げる・・・・のだが、その感情の変化を表現するあたりが未だ未だという点で、3位に留まったのだろうか? 容姿がいいから、間もなくロシア・オペラ団のどれかに加わって来日することになるかもしれない。

 2番目は、ヴァイオリン部門で1位なしの2位になったセルゲイ・ドガージン(23歳)。
 まあ実に明るい音色の流麗なレガートで、柔らかく弾く人だ。こういう草食系のチャイコフスキーを若いロシア人男性が弾くとは、興味深い。
 「ヴァイオリン協奏曲」の第3楽章では、トレパークの主題が戻って来る直前で毎回テンポを大きく落し、思い入れたっぷりに「矯め」をつくって、なかなかテーマに入って行かない。その代わり、第2楽章はその遅いテンポが効果を発揮、この上ない叙情美を作り出す。
 私個人の好みとしては少々もたれてしまう演奏だったが、客席は大いに沸いていた。

 次がチェロ部門第1位のナレク・アフナジャリャン(22歳)。
 前々日の記者会見席上では、今日の状況下における来日の是非を問われて「災害や不幸に顔をそむけてどうなるというのでしょう? われわれは団結すべきです。われわれが日本に来ることで、日本の人たちの力になれれば」と答え、また「自分はコンクールの前からキャリアを積んでいるので、コンクールはいわばトランポリンのようなもの」と面白いコメントを述べていた青年だ。
 その良い意味での才気が反映したような「ロココ風主題による変奏曲」の演奏で、明晰で歯切れ良く、引き締まって知的な表情の素晴らしいソロを繰り広げた。

 最後は、すでに1月の「ショパン・コンクール・ガラ」などで日本でもお馴染み、人気沸騰しているダニール・トリフォノフ(20歳)。ピアノ部門堂々優勝の、話題の逸材だ。
 1月に弾いたショパンの「1番」の時にはソフトで自然な演奏だったが、今日のチャイコフスキーの「1番」となると、さすがに大きくアプローチを変え、堂々たる風格を備えた、くっきりとした構成とダイナミックな流動感に富む演奏に仕上げる。
 そういえば彼は、「ぶらあぼ」編のメモリアル・ブック掲載のインタビューで、「チャイコフスキーは、ロマンティックな作曲家というより、むしろドラマティックな魂を持った写実主義的な作曲家・・・・現実的で厳格な人」という意味のことを語っていた。この演奏と照らし合わせ、なるほどと思う。
 なお、1月の「ショパン」の時と同様、今回も彼はファツィオリのピアノを使用して演奏していた。モスクワのチャイコフスキー・コンクールでは、スタインウェイを使用していたそうである。

   音楽の友 11月号

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