2024-02

2011・9・18(日)ボローニャ歌劇場 ヴェルディ:「エルナーニ」(初日)

   東京文化会館大ホール  3時

 来日直前に惜しくも急逝したサルヴァトーレ・リチートラに代わり、タイトルロールのエルナーニを歌ったのは、ロベルト・アロニカ。

 馬力充分の大声で、いかにも「山賊の首領」にふさわしく荒々しい歌いぶりだが、この主人公の正体は「アラゴンの貴族ドン・ジョヴァンニ」でもある。もう少し気品を持たせた歌唱もあってよかったのでは。
 時にあまりに吼えすぎて、共演者との重唱でも、ひとり声が飛び出してしまうことがある。さしものベテラン歌手アロニカも、やや歯止めが利かなくなったか? 

 しかし、パワーは無いよりはあった方がいいのはもちろんだ。
 そもそもこのオペラ、最初から最後まで主役たちが「復讐だ! 復讐だ!」と憤っているヘンなストーリーだし、音楽構成も初期のヴェルディらしく少々まとまりを欠いているから、ともかく力強い声の饗宴を聞かせてもらえばありがたいのである。

 共演者たちもいい。
 フェルッチョ・フルラネット(スペイン大公ドン・ルイ・ゴメス・デ・シルヴァ)はベテランの味たっぷりの歌唱で、出て来ただけで舞台に重みが感じられる。相変わらず貴重な存在の名歌手だ。
 ロベルト・フロンターリ(スペイン国王ドン・カルロ=カルロス1世)も、恋愛騒動に現を抜かす前半での横柄な歌唱を、神聖ローマ皇帝カール5世となった第3幕後半では威厳のある歌唱に変貌させるといったワザをも聞かせ、これも存在感充分。

 ディミトラ・テオドッシュウ(エルヴィーラ)は、歌は良かったものの、3人の男から争われるという幸せとも不幸ともつかぬこの役柄を演じる上ではさっぱり解らない演技で、――必ずしもこれは演出のせいだけではなかろう。

 ペッペ・デ・トマージの演出は、フランチェスコ・ジートの舞台美術ともども、トラディショナルな路線なりに安定したスタイルで、まあイタリア・オペラとしてはそれなりに安らかな心持で観ていられるといった舞台。辻褄の合わぬストーリーは、辻褄の合わぬままで構わないのだ、ということか。しかし、もう一つ何か工夫があってもいいのでは。

 指揮はレナート・パルンボ。今回観て来た3つの上演の中では、初めてこのボローニャ歌劇場管弦楽団がリズミカルに、ストレッタ豊かに躍動したかな、と感じさせる指揮になった。
 もちろん、これでもまだ微温的な演奏と言えないことも無いが、少なくとも前2作でのマリオッティの燃えない指揮と比べれば、余程「雰囲気」が出ていたことは事実である。

 これで、今回のボローニャ歌劇場来日公演の3作の東京初日を続けて観たわけだが、上演内容と演奏水準については、尻上がりに印象が良くなったと言える。
 来なかった歌手たちもいたが、しかしちゃんと来てくれた主役歌手たちもいたわけだから、そのあたりは冷静に見る必要があろう。――しかし、スター歌手の相次ぐ来日キャンセル、それに対するチケット購入者の不満など、このような不穏な事態が続くと、今後は大手主催者もリスクを恐れ、メジャーなオペラの招聘を控えることにもなるのではないか。

 終演は6時10分。

コメント

何はともあれ、久しぶりにイタリア人歌手中心の イタリアのオーケストラの奏でる小気味良いリズム。ベルリン・ドイツ・オペラ前音楽監督の指揮も良かったです。
<<このような不穏な事態が続く>>、続きますね。心の繊細な人もおおいですよね。

歌手でなくても、N響定期での、カヴァコス(Vn)なんて、まず来ないと思ったら、やっぱり、だし。1回しかやらないHaitink 指揮の公演ですら、土壇場キャンセル発表になって、またもとのプログラムになったり。

土壇場キャンセルしそうなときは、これからは<<N.N>>とか<<TBA( To be Announced>>って、言ってくれたほうが最初からそうして。欲しいです。

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看板スター歌手のギャラが反映する高額なチケットが
額面とおりではないから。ボローニャは不満はないですが
代役にかんしては。メトのドンカルロは3人も変更,それも
新人です。それで64000円のままですから。
差額を払ってほしい。看板歌手がキャンセルした場合差額分を払うべきです。

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