2024-03

2012・3・6(火)コルネリウス・マイスター指揮ウィーン放送交響楽団

    ホクト文化ホール(長野市)  6時30分

 ベルトラン・ド・ビリーの後任として、2010~11年のシーズンからウィーン放送響の首席指揮者を務めるコルネリウス・マイスターは、まだ32歳の若さ。
 6年前には新国立劇場で「フィデリオ」を指揮していたが、世評はあまり芳しくなかった(私は聴かなかった)ので、その後の成長は如何にと思っていた。

 今回は、首都圏での演奏会はスケジュールが合わないので、それではと長野まで聴きに行った次第。もともと旅行が好きだし、それに国の内外を問わず、旅先で演奏会を聴くとすべてが新鮮に聞こえる――という良さを感じているので、移動は苦にならない。

 会場のホクト文化ホール(長野県県民文化会館)は、長野駅東口から歩いて約10分の距離にある。区画整理中の、道路も未完成の新興住宅地を抜けると、忽然と姿を現わす巨大な建物がそれだ。テレビ信州や県立長野図書館の筋向いにある。目の前は広い公園である。信州の澄んだ空気が清々しい。
 客席2173を擁する大きなホールだが、1階席で聴く限り、アコースティックは思いのほか悪くない(少なくとも広島の旧厚生年金会館や、高崎の群馬音楽センターなどよりはずっと良い)。ただ、舞台の中で鳴っている音は良いが、それが客席にはあまり出て来ない(響いて来ない)という傾向が感じられる。これは、客席の床が布(マット?)張りであるせいかもしれぬ。

 さて今日は、モーツァルトの「フィガロの結婚」序曲、ベートーヴェンの「皇帝」(ソロはシュテファン・ヴラダー)、ブラームスの「第1交響曲」という、超名曲プログラム。
 序曲が始まった瞬間、弦がいい音を出しているな、と感じる。このオケの昔からの音は、未だ残っていたようだ。それほど個性的ではないが、一種地味で中性的なカラーの、良くも悪くも中庸を得た音――それが以前からのこのオケの特徴である。全プログラムを通じて、それが感じられる。
 ただ今回、管のバランスはあまり良いとは言えない。クラリネットの1番が少し頼りないのと、フルートの1番がやたら目立ちたがり屋なのが、難といえば難だ。

 マイスターの指揮も、まあ可もなく不可も無し、というところか。
 時々、持って回ったようなテンポを採ることがあるのが気になる。「ブラ1」は、リピートなしであったにもかかわらず、演奏時間は50分近くかかるという遅さであった。オケに対する統率力や演奏の緊迫度などの上でも、世界にひしめくライジング・スター指揮者に伍して存在感を主張するには、未だ一歩及ばぬところがあるだろう。
 しかし、「皇帝」第2楽章や、「ブラ1」第2楽章などのような、最弱音による緩徐楽章での美しさには聴くべきものがあった。こういう点には、優れた感性を示す指揮者と思われる。

 ヴラダーは、ピアノの鳴りがあまり好くなかったせいもあるのか、「皇帝」第1楽章では、些か雑な演奏もないではなかった。
 しかし、第1楽章が終わると、客席から大きな拍手が起こった・・・・。
 この現象、いつかの日記でも触れたように、「クラシックを聴きに来てくれる新しい客が増えている」からか、それとも「思わず拍手をしてしまうくらい素晴しい演奏だった」からか――は、些か微妙である。とにかくヴラダーは客席を見て微笑し、うなづいたあと、オケのメンバーと顔を見合わせ、何か言って笑った。
 彼らがこの「途中での拍手」をどう思ったかは、判らない。ただ意外にも、彼もオケも、そのあとの演奏が数段引き締まって熱が入ったものになっていたことは、紛れもない事実だったのである。

 いずれにせよ、特にコンチェルトの場合には、楽章間での拍手は、ソリストにとっては、それほど悪い気はしないという場合もあろう。誤解のないように付け加えておくが、長野のお客さんは、スタンディング・オヴェーションもすれば、ブラヴォーも叫ぶ。熱心な聴衆なのだ。

 ヴラダーは、アンコールとしてリストの「コンソレーション第3番」を弾いた。
 またマイスターとオーケストラは、「ブラ1」のあとに、ブラームスの「ハンガリー舞曲第5番」と、ヨーゼフ・シュトラウスの「スポーツ・ポルカ」及び「休暇旅行で」をアンコールとして演奏してくれた。このヨーゼフ・シュトラウスが、この日の演奏では、最も良かった。

コメント

リヒテルのアメリカ公演(1960年頃?)の映像で。ピアノソナタの第一楽章が終わったところで拍手が起きましたが、マエストロはまだ終わっとらん!とでも言いたげなムッとした表情をして、片手で拍手を制するような動作をしていました。今でもこういう態度を取る演奏家はいるでしょうか?第一楽章が終わったときに拍手が出ると、私は心の中でコラッと叫んでしまいます。興ざめです。しかしもっとイヤなのは、終楽章でまだ最後の音が続いているときに出る拍手。こういうことをする人はなぜか凄く大きな音で手を叩くんですね。オケと張り合っているのか?こういう人の近くには座りたくない...これを禁止するコンサート条例があれば...なんて思ってしまうほどです。

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