2024-03

2012・3・8(木)樫本大進&コンスタンチン・リフシッツ

   サントリーホール  7時

 真正面から正確無比に生真面目に、しかし瑞々しく音楽を歌い上げる樫本大進(ベルリン・フィル第1コンサートマスター)と、変幻自在に音楽をうねらせる個性派ピアニストのコンスタンチン・リフシッツとのデュオは、対決の美と謂うか、不均衡ゆえの妙なる調和と言うか、とにかくスリリングな趣きがあって面白い。

 この2人によるベートーヴェンのソナタ・チクルス、1年4ヶ月ぶりの「第2回」にあたる今夜は、「第2番」に始まり、「第6番」「第7番」「第8番」と並ぶプログラムである。
 「第2番」の冒頭、まるで両者がまず礼儀正しく挨拶を交わすかのように、替わりばんこに前面に出て来て主題を奏するくだりなど、2人のいかにも室内楽の呼吸を心得た呼吸の良さにニヤリとさせられたほどだが、やはり演奏に見事な緊張を増したのは――曲の性格のせいもあろうが――「第7番」以降であろう。

 樫本は相変わらず端整な表情を崩さずに押すが、リフシッツの方は音楽にいよいよ精妙なうねりを増し、時には低音部の轟きに凄味を利かせ、前面に浮き出るが早いか次の瞬間にはヴァイオリンの陰に身を潜めるといった具合に、起伏にも激しさを加えて行く。
 それはあたかも、大波(ピアノ)の上に毅然と進む船(ヴァイオリン)、もしくは、自らは端整な表情を崩さぬままに自在なピアノを触発してみせるヴァイオリン、という趣きも・・・・。
 特に曲想の豪快な「第8番」では、両者の異なったスタイルが雄弁にぶつかり合って、聴き応えのある演奏となった。

 アンコールでは、クライスラーの「シンコペーション」が演奏されたが、この曲では樫本の独り舞台という感。

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