2024-03

2012・3・24(土)ワーグナー:「タンホイザー」

   神奈川県民ホール  2時

 また「タンホイザー」を観る。
 もっともこれは、3月11日にびわ湖ホールで観たのと同一のプロダクションだ。つまりびわ湖ホール、神奈川県民ホール、東京二期会、京都市響、神奈川フィルとの共同制作公演である。
 今回の出演者で3月11日の公演と異なるのは、オーケストラが神奈川フィル(ゲスト・コンサートミストレスは鈴木裕子)であること。

 その神奈川フィルだが、――今日は都合で第2幕までしか聴けなかったが、かなり頑張っていた。特に弦楽器群の響きは良く、第2幕の大アンサンブルのアダージョの個所でのふくらみのある音など、なかなか好い。
 ただ、びわ湖ホール公演での、京都市響の濃密で完璧な均衡を備えた演奏と比較すると、どうしても音の力にひ弱なところがあるのは蔽いがたい。金管や木管のバランスにも物足りぬところがある。
 とはいえ、この比較は、ちょっと酷かもしれぬ。そもそも、あの時の京都市響が見事すぎたのである。今日の神奈川フィルだって、新国立劇場の東京フィルよりも遥かに出来が良かったことは、疑う余地は無いのである。

 歌手陣では、佐々木典子のエリーザベトが11日の上演と同様、「嘆願」の場面では圧倒的な存在感を示していた。声の調子もあの時より良かったのではないだろうか。
 他の人たちについても11日の公演の時より流れが好くなっていたような印象を得たが、領主へルマンだけは、タンホイザーを追放する宣言を下す最も威厳の必要な個所において、11日と同様に声がふらつき、それを身体で拍子を取って整えるという領主とは思えぬ動作をし、また前回と全く同じ個所でテンポが走りすぎる、という不思議な状況にあった。

 沼尻竜典の指揮は、前回公演の時よりも、ちょっとテンポが遅くなったような気がしたし、また緊迫感も前回より薄められていた印象だが、これは、オーケストラとの相性の問題から生れていることかもしれない。
 今日は残念ながら、第2幕が終ったところで辞す。

コメント

見事リベンジ!

両日出陣致しました。
東条先生ご指摘の通り、最大の功労者はマエストロ沼尻の見通しの良い指揮でした。決して奇を衒うことないものの、巡礼の動機へのヴェーヌスベルクの動機の弦のトレモロでの絡み着き方など、随所のこだわりも新鮮でした。

ただ、3幕大団円に「なってようやく見せたような開放的な奔放さや、もう少し欲情溢れる濃厚な押し付けがましさを打ち出してもよかった気もします。もっとも神奈川フィルにとっては単発公演なので、安全策を取ったのだろうとは推測しますが。。。そうだとすると3幕序奏からの遅いテンポにオケがついていけなくなり緊張感を削ぐことになったりしたのは残念。

歌手では水口(タンホイザー)が、重心の低い声と一種の投げやりさで、端正の目立つ福井以上にアウトサイダーを体現し共感。並河(ヴェーヌス)のきっぱりとした色気のある歌唱も見事。しかしながら、プロットの展開に沿って成長・変化しない、佐々木(終始成熟エリーザベト)と安藤(清純〃)の歌唱からは、「救済の女」たるエリーザベトの二面性には思いが至らず、作品がやや平板になった感が否めない気がします。低域男性陣は先生と全く同じ感想です。

それにしても、マエストロ沼尻、見事琵琶湖トリイゾのリベンジを果たした気がします。欲を言えばきりがないのですが、そろそろ初台の監督として多くの作品に内外の歌手と共に腰を据えて取り組む、なんて話はないのでしょうか?公演回数が増えれば、今以上の冒険的な音楽つくりで、きっとわれわれ聴衆を刺激してくれるマエストロと確信しているのですが。。。

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