2024-03

2012・3・24(土)アレクサンドル・ラザレフ指揮日本フィルハーモニー交響楽団

   横浜みなとみらいホール  6時

 「タンホイザー」の第3幕の成功を祈りつつ、神奈川県民ホールからクルマで約10分、みなとみらいホールに移動する。好調ラザレフと日本フィルがどんなブラームスをやるか、ぜひとも聴いてみたかったからだ。

 プログラムは、そのブラームスの「ピアノ協奏曲第1番ニ短調」(ソロは河村尚子)と「交響曲第3番へ短調」の2曲だったが、これには感服した。
 ラザレフと日本フィルはただ咆哮するだけが取り柄だと思っている人がいたら、何としてもこの演奏を聴いてもらいたかったところである。

 ロシアものを演奏する時のあの豪快なサウンドとは全く異なる、弦のしっとりした柔らかさ、木管群の夢幻的な音色、厚みを以前より増したテュッティの響きなど、――ブラームスなどの場合にはこういうスタイルで決められるのだよ、と言わんばかりのラザレフの指揮、日本フィルの演奏であった。
 ラザレフが首席指揮者に就任する頃の日本フィルのあの音を考えれば、変われば変わるものなりき、よくここまで回復したものだ・・・・と思わずにはいられない。

 協奏曲での弦の響きは、とりわけ瑞々しく、美しかった。
 河村尚子のソロも素晴らしい。この曲の演奏によくある闘争的、戦闘的なニュアンスは全くなく、スケールの大きなフォルティッシモにさえ、ふくよかな温かさがあふれていた。それらは、ブラームスがこの第1楽章を決して力みかえった、おどろおどろしい曲想としては考えていなかったのだ――という解釈に感じられたのである。

 「交響曲第3番」では、特に木管楽器群が、何処か遠い彼方からエコーのように響いて来るといった驚くべき夢幻的な音色を聴かせてくれた。
 ラザレフは、この交響曲を物凄く激しい情熱的な身振りで指揮した。それを受け止めながらも、表向きはあくまで抑制した表情を続けて来たオーケストラは、第4楽章にいたってついに情熱を噴出させ、激して怒号する――という設計である。

 ラザレフのステージ姿は、相変わらず賑やかだ。演奏会冒頭、ソリストの河村のあとから拍手しながら入って来たラザレフは、彼女がコンマスと握手したり拍手に答礼したりしているさなか、指揮台上からホルン奏者たちに「行くぞ」と合図を送り、ソリストが座るか座らないかのうちに、猛然と第1楽章を開始してしまった。
 周知のようにこの曲では、ピアニストは最初の数分間は出番がなく、黙って座っているだけだからそれでも大丈夫なのだが、――極端に言えば、ソリストはオケの演奏が始まったあとから悠々と入って来てもいいようなもので? まさか――とにかくラザレフらしい、何とも吹き出したくなる場面であった。

 この光景は、あの語り継がれているメータとバレンボイムの傑作なエピソードを思い出させたが、その話はまたいずれ。

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