2024-03

2012・3・26(月)井上道義指揮オーケストラ・アンサンブル金沢 東京公演

    サントリーホール  7時

 ハイドンの「交響曲第94番 驚愕」、モーツァルト(伝)の「協奏交響曲変ホ長調 K.297b」、ベートーヴェンの「交響曲第7番」、アンコールに武満徹の「他人の顔」の「ワルツ」というプログラム。

 フォルティシモの一撃の代わりに、オーケストラの楽員全員が「ワッ」と叫ぶという奇手を用いたのは、ミンコフスキ指揮のルーヴル宮音楽隊(東京公演もCDも同様)。
 まさかその二番煎じはやるまいが、井上道義のことだから何か仕掛けを考えているんじゃないか、と思っていたら案の定。オーケストラは楽譜どおりに最強音で一撃したが、同時に客電を一瞬上げ(失礼、これは業界語。つまり客席の照明を一瞬明るくしてみせ)、指揮者も客席を振り向きニヤリとする、という演出になっていた――「驚愕」の第2楽章。

 その「驚愕」は、8型(弦8・6・4・4・2)のスリム編成だったが、たっぷりした音で鳴らしているので、サントリーホールのよく響くアコースティックも手伝って、かなり分厚い音のハイドンに聞こえた――意外に重かった、という意味もあるのだが。

 「協奏交響曲」のソリストには、バンベルク交響楽団のメンバーが迎えられていた。カイ・フレンゲン(オーボエ)、ギュンター・フォルストマイヤー(クラリネット)、アレクセイ・トカチャク(ファゴット)、ザボルクス・ツェンプレーニ(ホルン)という顔ぶれである。ここでは井上とOEKがなかなか洒落たクレッシェンドを聴かせたりするのに対して、ソリストたちはごく生真面目に手堅く応える。

 ベートーヴェンでは、コントラバスが1本増やされての演奏。ハイドンよりも歯切れ良く押す。編成が小さいので、内声部の動きなども手に取るように聞こえて面白い。
 その代わり快速の第4楽章などでは、管楽器のちょっとしたズレや飛ばしや揺れも露呈してしまう。そんなことが気にならないくらいの凝縮した演奏であればいいのだが・・・・。
 先日の尾高&札響の時といい、――この曲は難しい。

 一方、「他人の顔」は、弦が繰り広げる自在の表情で、これは見事な「決め」であった。

 開演前のホールの正面広場やホワイエニは、黒のスーツを着た無数の男たちが、あふれんばかりに通路の両側に並んで、一般客を監視するようにじっと立っている。音楽を聴きに来た人々をぎょっとさせるような雰囲気だ。これは秘密警察のSPではなく、スポンサー関係。それも今夜は、異様なほど数が多い。
 お金を出してくれる企業は重々有難いけれども、こういう野暮ったい「お偉方出迎え」のセレモニーは、最近ではもう廃れているだろう。誇り高い石川県ともあろうものが、ほどほどになさいませ。
 札響も以前は「ロビーにずらり」だったが、今はもう止めて、帰りに出口で客にテンサイ糖を一袋贈呈するという洒落たことだけを続けている。

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ティンパニへの疑問

少々お伺いしたいことがございます。ティンパニの鳴らし方なのですが、ハイドンでは
わざとあのように重く鈍く、表現したのでしょうか。
 私は、ベートーベンの時と同じように扱って欲しかった。あれは、プログラムの構成上なのか、管楽器とのからみによるものなのか。どんな意図があったのでしょう。

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