2024-03

2012・5・4(金)ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン(7)
ヤーン=エイク・トゥルヴェ指揮ヴォックス・クラマンティス

   東京国際フォーラム ホールB5(ツルゲーネフ) 3時

 エストニアの混声合唱団。16人編成で、そのハーモニーの透明な美しさと完璧な均衡は、驚異的でさえある。

 プログラムはシリウス・クレークの「夜の典礼」、作曲者不明の聖歌、アルヴォ・ペルトの「カノン・ポカヤネン」からの抜粋。何といってもペルトの作品がこの合唱団のトレードマーク的存在だ。

 ゆっくりしたテンポで進み続ける「悔恨のカノン」の沈潜した雰囲気は独特のものだが、その最弱音で続くハーモニーに些かも不安定な揺れが感じられず、清澄な音色の中に息詰まる緊張感が終始保たれているところ、この合唱団の実力は恐るべきものである。

 最後に最弱音で「アーメン」が断続的に反復されて結ばれる個所など、各声部の完璧な均衡もさることながら、特に高音域のソプラノの音色の清らかさには、思わず居住まいを正したくなる。この最後の1分間を聴いただけでも、この「ヴォックス・クラマンティス」のコンサートを聴きに来てよかったという気がする。

 今回来日した3つの合唱団は、それぞれ最高水準にある団体ばかり。ちょっと渋めではあるものの、今年のLFJの中でも、最も良心的な企画と言えるだろう。

 お客さんの中には、欲張って次に聴く公演の予定をぎりぎりに組んでいるのか、脱兎の如く飛び出して行く人が毎回必ず20~30人いる。
 だが、演奏が終ってすぐ、カーテンコールでの答礼が始まるか始まらないかのうちに、アーティストのすぐ前を、荷物を抱え、列を為してドドドドと走って行くというのは、どうみても演奏者に対して礼を失した態度ではないか? 
 このコンサートでも、合唱団員たちは、目の前を物凄い勢いで横切って行く人々を見て苦笑していた。もっとも、直前まで人間業とは思えぬほどの完璧な美しい音楽を聴かせていた女声歌手たちが、走り去る人々を見て、互いに顔を見合わせ、口に手を当てて笑っている様子は、妙に人間的なものに見えたことはたしかだが。

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