2024-03

2012・5・6(日)METライブビューイング マスネ:「マノン」

   東劇(銀座)  1時30分

 ロラン・ペリーの演出で、コヴェントガーデン・ロイヤル・オペラ、ミラノ・スカラ座、トゥールーズ・カピトール・オペラとの共同制作によるレパートリー・プロダクション。
 4月7日上演の映像で、指揮はまたファビオ・ルイジだ。

 今回は、アンナ・ネトレプコがタイトル・ロールを歌うのが売り物。
 たしかにここでも、彼女の華麗な姿はずば抜けた存在感である。彼女より歌の上手いマノン役は他にもいるが、彼女ほど演技の巧みなマノンは、他に例を見ないだろう。
 田舎娘が貴婦人に、やがて情欲に駆られる女に、そして落ちぶれた女に――と変身して行くさまを一つのオペラの中で演じ分けるというのは大変なことに違いないが、それをネトレプコは、ものの見事に果たして見せる。
 物語の最初の方での、茶目っ気のある愛らしい田舎娘のマノンと、「女」になってからのマノンとの、あの別人のような違いを、彼女は何と鮮やかに演じ分けていることか。

 共演は、ピョートル・ベチャワ(騎士デ・グリュー)、パウロ・ショット(レスコー)、デイヴィッド・ピッツィンガー(デ・グリュー伯爵)、クリストフ・モルターニュ(ギヨー)ほか。
 脇役にいたるまでがっちりと固められ、群集の動きも隙なくまとめられていて、舞台の雰囲気も熱い。

 ショット(ゾット? Szot)の歌の上手いのには感心した。一昨年3月のショスタコーヴィチの「鼻」では、「ミュージカル《南太平洋》で2008年にトニー賞を受け注目されている歌手がMETデビュー!」と騒がれていたので、何か「ミュージカル歌手がオペラに出て」話題になっているような雰囲気だったけれど、実は「オペラ歌手がミュージカルの舞台に出ていた」ということだったようである。あの時のコワリョーフ少佐役は絶品だったが、今回のレスコーもなかなか良かった。

コメント

上手な性格俳優のようと感心したのは、ギヨー役。また、存在感あり伯爵デグリューもよかった。
第一幕 マノン、夢見ては駄目のくだりは見事だった。自己愛の強い好奇心に満ちた、若い娘の甘えが、よく歌えて、見ててドキドキした。連呼される「マノン」のフレーズが、とても美しい。社交界デビュー後の衣装は、田舎出の愛人風。アンナ ボレーナの衣装のほうが、よっぽどネトレプコを引き立たせてたから、見ていてもどかしかった。
 若い二人の隠れ家が、洒落ていて説得力のある、いい舞台装置だった。
オケは、いつも思うが、チェロがとてもいい音をだす。賭博場のシーンと思うが、マノンと、独奏のバイオリンが、渡り合うところ。下卑た台詞ながらバイオリンの音色は、まるでロ短調ミサの独奏部分のようだった。哀調をおびて悲劇を予兆させる甘美な音色。あれは、バロックバイオリンなのだろうか。
 騎士 デ グリューは、狂おしい情熱に身を焦がすところより、賭博場やラストシーンのほうが、よく表現できてたように感じる。私が、同調できたからかも知れない。
 ネトレプコは、はまり役なのだろうが。男、貴族の需要があって、マノンの供給があるのに。オペラは、訓戒的、階級差別、女性蔑視の物語が多い。

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