2024-02

2012・6・6(水)新国立劇場 オスカー・ワイルド「サロメ」

   新国立劇場中劇場  2時

 新国立劇場の「サロメ」――といっても、R・シュトラウスの楽劇ではなく、演劇の方の「サロメ」だ。
 翻訳が平野啓一郎、演出が宮本亜門、舞台美術が伊藤雅子、照明が西川園代。
 主演は、サロメが多部未華子、ヨカナーンが成河、ヘロデ王が奥田瑛二、ヘロディアス王妃が麻美れい。

 これを観に行ったのは、宮本亜門の演出ということもあったが、少女っぽく可愛いキャラクターの多部未華子(私とて「デカワンコ」とか「ジウ」くらいは見ている)がサロメを演じるという、その演出のコンセプトに興味を持ったからである。
 私は常日頃から、サロメを猛女でなく、もっと複雑な性格を持った少女として描き出す演出はないかと思っていた。だが、オペラとなると、声楽面の制約から、どうしても威風堂々たる女史然としたサロメにならざるを得ないし、また見るからに怪女妖女に設定されてしまう演出も少なくない。

 私の観た中で唯一彼女を「普通の女の子」として描き出すのに成功したオペラは、2008年にびわ湖ホールで制作されたカロリーネ・グルーバーの演出ではなかったかと思う。
 あれは、ヌイグルミを持って遊ぶ普通の女の子サロメが、両親の淫乱な生活を目のあたり見て、次第に異常な性格に追い込まれて行くという設定で――「7つのヴェールの踊り」は彼女が両親との平和な愉しい家庭の暮らしを幻想の中で見る場面となっていた――私は非常に面白い解釈だと思ったものである。

 ただやはり、そういう性格のサロメを完璧に描き出すという面では、いくら巧いオペラ歌手といえども、舞台女優には一歩も二歩も譲らざるを得まい。
 今回の多部未華子は、さすがにその点、アイドルっぽいサロメを可愛く軽快に演じて、ヌイグルミを抱いて登場する冒頭から、血の海の中にヨカナーンの首を抱いて陶酔するラストシーンまでを出ずっぱりで、演劇ならではのサロメ解釈を熱演していた。

 ただ欲を言えば、大詰めの長いモノローグでのセリフまわしがやや「無理をしたような」絶叫調になって凄味を欠いたこと、また95分の戯曲の流れの中における演技表現の上で性格の変化に乏しく、些か単調な印象を与えたことが、ちょっと惜しかった点であろう。
 それゆえ、ベテランの奥田瑛二と麻美れいの巧さが光る。この舞台に重心を与える存在となっていた。

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