2024-03

2012・10・20(土)ロリン・マゼール指揮NHK交響楽団の「指環」

   NHKホール  3時

 ワーグナーの「ニーベルングの指環」の音楽から、マゼール自身が接続・編曲した「言葉のない『指環』」が演奏された。マゼールがこれを自ら指揮して日本で演奏するのは、これが確か2度目ではないかと思う。
 編曲のテクニックからいえば、あのヘンク・デ・フリーハーの「オーケストラ・アドヴェンチャー」の方が巧いとは思うが、マゼール版も「聞かせどころ」は一応ちゃんと押えている。

 ただ、どちらにせよ所詮これは、メドレーというか、ポープリに過ぎぬ作品であり・・・・しかるべき起承転結の「形式」を欠いたまま延々80分間も続く大管弦楽の洪水は、やはり散漫な印象を免れない。
 それに、彼が昔(1987年)ベルリン・フィルを指揮して録音したテラーク盤では演奏時間が70分弱だったのに対し、今回はおよそ80分を要していたことでも解るとおり、かなり遅いテンポが採られていたのである。「ヴォータンの告別」の個所など、最たるものだろう。正直言って、この粘っこく誇張されたテンポによるワーグナーには、今の私は辟易させられる。
 ただし「ジークフリートの葬送行進曲」のみは、あのくらいの重厚なテンポで演奏されてこそ悲劇感が出るというものだ。そこだけは支持したい。

 オーケストラの鳴らせ方は、やはりマゼール、巧い。弦18型の大編成を採ったN響は、「ジークフリートのラインへの旅」の個所などで、あの響きのないホールをも揺るがせるほどの大音量、重量感、威圧感を発揮していた。
 今日のプログラムは、これ1曲のみ。4時半には演奏が終ってしまった。

コメント

 はじめまして。いつも読ませていただいて,楽しませていただいたり,勉強になると感じたりしている者です。

 Cプロ2日目,私も聴きに行きました。

 ワルキューレ第3幕の幕切れの部分は,神々の長であるヴォータンが,自分の命令に背いてジークリンデを助けた娘ブリュンヒルデを罰するために,ブリュンヒルデの神性を奪い,魔法の炎のなかで眠らせる,というシーンです。ここで,ヴォータンには「ヴォータンの別れ(さよなら勇ましい我が子)」というアリアがあります。

 マゼール氏は,私の耳には,このアリアの部分を,遅めのテンポで,かつ,緩急を自在に操り,弦を美しく歌わせ,神々の長という立場ゆえに最愛の娘を罰しなければならない父の悲しみを描いていたように聴こえました。私には,その解釈はとても説得的で,心に響く演奏だときこえました。

 原曲では,このような緩急は,ヴォータン役の歌手の息が続かないから,絶対に不可能なはずです。マゼール氏は,編曲版ならではの新鮮な表現を実現してくださったので,私はとても驚きました。ここは,マゼール氏が遅いテンポを採用したことの功績の一つだと思いました。

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