2024-02

2012・10・30(火)庄司紗矢香&ジャンルカ・カシオーリ デュオ・リサイタル

     サントリーホール  7時

 ヤナーチェクの「ソナタ」に始まり、ベートーヴェンの「ソナタ第10番」が続く。休憩後はドビュッシーの「ソナタ」、シューベルトの「幻想曲」。アンコールは、バッハの「音楽の捧げもの」からとストラヴィンスキーの「ペトルーシュカ」から。

 庄司の演奏は――基本的には、形容しがたいほど素晴らしかったことは確かだ。以前のベートーヴェンの初期・中期のソナタやシベリウスの協奏曲などとはだいぶ趣きを異にし、むしろメンデルスゾーンやチャイコフスキーの協奏曲の時と同様に、かなり繊細な表情を前面に押し出した演奏を聴かせてくれた。作品の性格からして、それはある程度納得できる。

 ただ、前半の2曲では、彼女のヴァイオリンがなぜか殊更に華奢(?)に聞こえてしまい、蓋をソロ・リサイタル並みに開けたカシオーリの非常に雄弁な、よく響くピアノに「音響的に」押され、もどかしささえ感じさせた。同じサントリーホールの2階席で聴きながら、彼女のこんな演奏には今まで一度も接したことはなかったが・・・・。

 スタイルを変えたのなら、あまりにピアノとのバランスが不釣合いである。それゆえむしろ、今回のツァーの異常な過密スケジュールに、彼女が疲れていたのではないかとさえ思えてしまう(所属音楽事務所の意向だそうだが、32日間に17回、鹿児島から札幌の間を右往左往、大変だ)。

 だが後半のドビュッシーとシューベルトでは、彼女のその細身(?)の――彼女らしからぬ、と言えるかもしれないが――演奏が次第に良い方向に生かされて行った、とも感じられる。
 カシオーリのピアノも、作品の性格にふさわしく、以前のデュオの時と同じように節度を以って庄司のヴァイオリンと調和して行った。シューベルトの「幻想曲」は、今夜の演奏の中では、作品の「歌」の素晴らしさを最もよく再現していただろう。

 総じて今回の庄司紗矢香は、いつもと違った。彼女が作品の性格に応じて多様な表現を採ることは、これまでの演奏を聴いてよく承知しているが、・・・・今夜の演奏をその一環と感じるには、些かの戸惑いがある。

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