2024-03

2012・10・31(水)ギドン・クレーメルとクレメラータ・バルティカ

   サントリーホール  7時

 後半に演奏されたベートーヴェンの「ヴァイオリン協奏曲」での演奏を聴くと、さすがにクレーメルも少しトシをとったかな、という気がしなくもない。
 若い頃の、時にあざといほどの強靭な表現を逞しい力感に包み込んだあの演奏スタイルが、今はもっと細身に感じられるようになったか? 

 だがこれは、彼の演奏がひ弱になったとか、こじんまりしてきたとか、感情と技巧とが肉離れを起こしていたとかいう意味では全くない。クレーメルは今でもクレーメルであり、最初の一音を聴いただけで、恐るべき集中力と、生々しい肉感のようなものが噴出してくるのがわかる。

 ベートーヴェンの協奏曲では、例のシュニトケ作曲になるカデンツァが話題だったろう。これは彼が30年ほど前のマリナーと入れたレコードで私も初めて耳にし、その斬新さに、大いに熱狂したものであった。
 ただ、今夜演奏されたものは、あのレコードにおけるそれとは多少違っていたようで、もう少し簡略になっていたのではないかという気もする。それに、そのカデンツァの演奏も、昔よりは淡白になっていたような・・・・。

 クレーメルは、今夜のプログラムの1曲目、シューマンの「チェロ協奏曲」をルネ・ケーリングがヴァイオリン・ソロと弦楽合奏とティンパニのために編曲した版をも弾いた。こういう編曲版でやるとこの曲、えらく甘い音楽に聞こえる。あまりいい気持ではない。
 なお、彼とオーケストラのアンコールは、カンチェリ&プシュカレフの「黄色いボタン」という曲だそうで、こちらは、いい意味で甘美そのもの。

 プログラムの2曲目は、カティア・ブニアティシヴィリがソロを弾いたモーツァルトの「ピアノ協奏曲第23番K488」。
 これは、すこぶる快調な演奏だった。指揮者なしでありながら第3楽章をあれほど天馬空を行くようなテンポで――楽譜の指定どおり本当にアレグロ・アッサイで演奏するとは、このクレメラータ・バルティカというオーケストラ、今回はなかなか腕がいいところをみせた。

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