2024-03

2013・2・16(土)MET ビゼー:「カルメン」

   メトロポリタン・オペラ  夜8時30分

 今日のマチネーの「リゴレット」を含め、新演出のプロダクションを2つ取材して、これで今回の目的は一応達せられたようなものだが、ついでに土曜の夜の公演もと思って観に行ったのがこの「カルメン」。

 ただし昔のと違い、今上演されているのはリチャード・エイレの演出、ロブ・ハウェルの舞台美術による、どちらかというと渋めの舞台である。
 最近はMETと雖も台所事情が多少影響しているのか、新しいプロダクションは多かれ少なかれ前作に比べて地味――といって悪ければ渋めのものになっているようだ。もっとも、「指環」のような大作の場合には、一点豪華主義の雰囲気も感じ取れる。

 この「カルメン」は、ごくごくストレートで、何か新しい人間のドラマを発見させるというほどのものでもない。回転舞台を利用するものの、兵舎も、酒場も、山中も、闘牛場も、適度に写実的で、適度に象徴的なつくりである。
 まあ、演技の上で興味を惹いた点といえば、ラストシーンでホセに泣きつかれたカルメンが、再三再四苦しそうな表情を見せ、昔惚れた男を無碍に袖にするにはさすがに同情の念を抑えきれぬといった様子を示すあたりだろうか。これは30年以上前のフランチェスコ・ロジー監督による映画版「カルメン」の中で使用された手法でもあるが、カルメンなる女の人間性を垣間見せるという点で私は好きである。

 指揮はミケーレ・マリオッティ。何と昼間の「リゴレット」に続くダブルヘッダーだ。御苦労様です。
 METでは演目の組合せで、よくこのようなケースがある。かつてのジェイムズ・レヴァインなどは、これよりもっと長いオペラのダブルヘッダーをこなすという超人的なエネルギーを見せていたものである。

 ところでこのマリオッティ――先ほどの「リゴレット」と同様の穏健な指揮で、第4幕の大詰など肝心のクライマックスでもあまり盛り上がらないのは物足りないが、比較的いいテンポで音楽を進めていたのは確かだ。
 カルメン役はグルジア出身のアニタ・ラクヴェリシヴィリという人で、声は太めで結構な馬力だが、フランス語の発音は非常に曖昧に聞こえるし、演技もさほど巧いとはいえない。
 伍長ドン・ホセのニコライ・シュコフ、闘牛士エスカミッロのドゥエイン・クロフト、隊長スニガのリチャード・バーンスタインなど手堅く、ミカエラのエカテリーナ・シェルバチェンコが愛らしい姿とよく通る声で好印象を残した。

 終演は11時40分頃。METではこんなに遅くまで子供のコーラスを舞台に乗せることができるらしい。客もよく入っているが、「パルジファル」プレミエの時の客層とはかなり違う。

 これで今回の弾丸取材(?)は終り。明朝帰国へ。

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