2024-02

2008・4・5(土)ラドミル・エリシュカ指揮 東京都交響楽団

  東京芸大奏楽堂(マチネー)

 突然人気が沸騰しはじめたチェコの指揮者ラドミル・エリシュカ(77歳)。
 札幌交響楽団での成功がクチコミで伝えられてはいたものの、何がどう素晴らしいのかはこれまでちっともつかめなかった。今日初めてその演奏をナマで聴き、なるほどと思うと同時に、若い聴衆の熱狂の仕方に大いに興味を感じた次第である。

 今日のプログラムは、ドヴォルジャークの「野鳩」、ヤナーチェク~ターリヒ編の組曲「利口な女狐の物語」、チャイコフスキーの第5交響曲という組み合わせ。
 東欧系のベテラン指揮者特有の陰翳と情感と滋味に富んだ音楽づくりが特徴だが、この人の指揮には更に、今日の時代には珍しいほどの豪快な力感、剛直な精神力といったものがみなぎっている。
 とりわけチャイコフスキーの交響曲では、レコードで聴く昔の名匠パウル・ファン・ケンペンの古武士的な音楽づくりを彷彿とさせるものがあるだろう。どっしりと揺るぎない構築、まっすぐにたたきつけられる金管の和音、起伏は大きいものの作為を感じさせぬデュナミーク。
 こういう音楽を創る指揮者がまだいたのかと、うれしい驚きを味わわせてくれたエリシュカの指揮であった。

 ただし、この人の指揮に今日の都響は果たして心から共感していたのかどうか。演奏を聴いた範囲では、少々見極めにくい。
 来週には、エリシュカと最も相性がいいはずの札響との演奏を聴くことにしているので、そこで彼の音楽をもう一度じっくりと聴いてみよう。

 聴衆は熱狂し、最後は指揮者にソロ・カーテンコールを求めた。
 興味深かったのは、若い知人たちの反応だ。
 実に新鮮だ、とみんなが言う。
 今の時代にあっては、これは新鮮なものと感じられるのか。
 私などには、たとえば前出のケンペンのように、昔はこのような演奏をする音楽家が大勢いたもので、そのよき伝統を受け継ぎ、頑固に主張し続けている昔気質の指揮者が久しぶりに現われてきたのだ、というように受け取れるのだけれど、それがレトロと言われず、新鮮だと言われるところが面白い。
 ある種の演奏スタイルばかりがもてはやされ、それに非ずんば現代の演奏に非ず、といった風潮を肯んじない聴衆がまだ健在なのだということに、私は大いに意を強くしたのであった。

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