2024-02

2008・4・26(土)イダ・ヘンデル、シャン・ジャン指揮東京交響楽団

  東京オペラシティコンサートホール

 「伝説の女王」イダ・ヘンデルが、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲を弾く。
 それだけを聴きに来たお客さんもいたらしい。プログラム前半でもかなりの入りだったが、休憩が終わってこの協奏曲が演奏される時には、ほぼ満席になっていた。

 しかし、この日の指揮者、中国出身の若い女性シャン・ジャンも、なかなか良かったのである。
 小柄で敏捷で、遠くから見ると松尾葉子に似た雰囲気のテキパキとした指揮ぶりだ。緻密にがっちりと音楽を組み立て、メリハリのいいアクセントをつけ、小気味良いテンポで曲を進めていく。
 前半では「レオノーレ」序曲第3番とシューマンの第4交響曲を指揮したが、特に後者の第4楽章冒頭へかけての個所など、緊迫感に富む豪快な盛り上げを聴かせて、すこぶる見事であった。後半の協奏曲でも、引き締まった重厚な音色を東京響から引き出していた。「女王」に対して平伏したり労わったりするのでなく、むしろ物怖じせず陽気に闘いを挑むといった雰囲気の指揮だったのが面白い。
 彼女、まだ30歳を少し出たばかりらしいが、プロフィールに拠れば、現在ニューヨーク・フィルのアソシエイト・コンダクターとシンシナティ大学音楽院指揮科准教授をつとめ、欧州にも活動を拡げているとのこと。注目株だろう。

 さて、女王ヘンデルの方は、おなじみの真紅のドレス姿。最近の資料ではお歳を伏せているようだが、昔の資料を参照すれば1923年生まれとのことだから、今年の誕生日で85歳ということになる。
 歩き方は少々心許ないけれど、いざ定位置に立てば堂々たる風格だ。長い提示部が終り、ホール内の恐ろしい緊張のうちに第1音が弾き出されたその音楽は、些か不安定さはあるものの、実にスケールが大きく、確固とした意思の力を感じさせるものであった。年齢から来る技術の面ではともかく、音楽に対する彼女の真摯な没入の姿勢に関しては何びとも異論を差し挟むことはできないだろうと思う。
 全曲をいとも楽々と弾き終わったあとのカーテンコールでの仕草も、陽気で親しみやすい。2階正面席からは部分的にしか聞き取れなかったが結構長いスピーチをし、そしてアンコールに自身編曲のチャイコフスキーの「白鳥の湖」からの「ロシアの踊り」という小品を鮮やかに弾いて見せた。いや立派なものである。
 事務局から聞いた話では、彼女はアンコールに15分近い長さのバッハの「シャコンヌ」をやりたいと言ったらしい。しかし、翌日の新潟公演に備えて現地への一部移動があるため、終演時間の関係で泣く泣く変更してもらったそうな。聴きたかった。新潟では演奏したのかしら?

○新潟でのアンコールについてDotch?さんのコメントあり。ありがとうございました。
 

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新潟でのアンコール

新潟でのアンコールではバッハの無伴奏ヴァイオリンソナタ第2番のアンダンテの後、満場の拍手に応えて「あたしゃ、ソロが好きばってん、オーケストラとはあんまり共演しとかなけど、このオケはよかね。」と英語で言い、コンマスに即興で付き合えと促しましたがかなわず、ラロのスペイン交響曲からインテルメツォを独奏しました。なんとも滋味溢れる良い演奏で、なんだか中学生の時に聴いた晩年の柳兼子の独唱会を思い出しました。

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