2024-02

2008・5・4(日)東京歌劇団「ムツェンスク郡のマクベス夫人」

  サンパール荒川

 ショスタコーヴィチのオペラ「ムツェンスク郡のマクベス夫人」は、94年に東フィルが「オペラ・コンチェルタンテ」(大野和士指揮)で、セミ・ステージ形式の原語上演により取り上げたことがある。改定版「カテリーナ・イズマイローヴァ」の方は、1973年に二期会が日本語訳で舞台上演を行なったことがある(外山雄三指揮、栗山昌良演出)。
 一方、来日オペラでは、92年にケルン・オペラが前者を、96年にマリインスキー・オペラが両者2作を連続して上演している。
 したがって日本人による本格的な原語の舞台上演は、いずれにせよ今回が最初のものになる。

 新しいオペラ・カンパニーが旗揚げ公演をこのような作品で、しかもロシア語上演で行なうとは並外れた意欲だ。プロデューサーは田辺とおる、公演監督は岸本力。2人とも今回のダブル・キャスト上演で自らボリスを歌っているバス歌手。舞台の雰囲気からして手作り上演という印象だが、生まれたばかりの赤児にしては歯が強い。スタッフとキャストの熱意を讃えたい。

 この日は、その田辺とおると、菊地美奈(カテリーナ)、羽山晃生(セルゲイ)らが中心となるキャスト。この3人の歌唱は充実していた。どちらかといえばコミックな役柄に向いている感のある田辺も、なかなかに重厚な表現で聴かせていた。
 可憐な役どころのイメージが濃い菊地がカテリーナを歌うとは予想外だったが、ミカエラが悪女ぶっているような見かけ上のギャップを別にすれば、この強い声は魅力的だった。ただ、羽山ともどもベッドシーンなどで迫力ある力演を見せたものの、もっと突っ込んだ微細な心理的演技があれば、自由と解放を求めて破滅する女性像をさらに強烈に描くことができたろう。
 特に羽山にはいつものことながら、俳優としての演技を見につけて欲しいところだ。でないと、せっかくの声と体躯が空回りする。もっともこれらは、演出・美術・衣装を担当した大島尚志の責任もあろう。せっかくの力作ながら、ドラマが何かきれいごとに済まされた段階で留まってしまったのが惜しまれる。

 珠川秀夫が指揮する「東京歌劇団管弦楽団」は、テュッティでのまとまりが良く、メリハリ充分の沸き立つような熱演を聴かせていたのに感心させられたが、メンバーの主力はオーケストラ・ダスビダーニャ(ショスタコーヴィチの作品の演奏が売り物のアマオケ)であるとのこと。道理でショスタコーヴィチの音楽への共感があふれ出るような演奏であった。だが、弦のソリにはいずれも身の縮む思いをした。公演自体はアマチュア・オペラではないのだから、このあたり甘えは禁物であろう。

 なお予告によれば、この「東京歌劇団」は来年から「ワーグナー音楽祭・あらかわバイロイト」という名称のもと、まず「パルジファル」を上演して行くという。何とも物怖じしない姿勢だが、野望は大きいに越したことはなかろう。
   モーストリークラシック7月号「東西南北」

コメント

お疲れ様でした。

遅ればせながらお疲れ様でした。
オーケストラでファゴットをやっておりました。
素晴らしいソリストの方々と共演できて幸せでした。

お久しぶりです。

お久しぶりです。マクベス夫人でご一緒させていただきましたファゴットの佐藤です。
あれからだいぶ経ちますが素晴らしい活躍をされていらっしゃる様でよかったです。
またご一緒出来ればいいですね。
blogを作成しましたので是非遊びにいらしてくださいませ。
リンクにこの東条様のblogを貼りました。
もし、よかったら相互リンクにしていただければ嬉しいです。
より一層の活躍を期待しております。

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