2024-02

2008・5・22(木)宮崎国際音楽祭
 シャルル・デュトワ指揮宮崎国際音楽祭管弦楽団

   宮崎県立芸術劇場 アイザックスターンホール

 第13回にあたる今年は、5月4日(日)から24日(土)までの開催。メインプログラム5公演(うちデュトワ指揮のオーケストラ・コンサート3、レオン・フライシャーなどの室内楽演奏会2)の他、スペシャル・プログラム5公演(室内楽演奏会、ストリート演奏会など)、教育プログラム等4公演。なかなかの大規模である。

 午後のANA3755便で宮崎に入り、夜7時から聴いた公演は、アーティスティック・ディレクターのデュトワが指揮する宮崎国際音楽祭管弦楽団の二つ目の演奏会で、「激しくも優雅な舞曲」と題されたプログラム。ラヴェルの「道化師の朝の歌」と「ラ・ヴァルス」を最初と最後におき、中にチャイコフスキーの「ピアノ協奏曲第1番」とラフマニノフの「交響的舞曲」を配した長大な、しかし趣旨のはっきりした曲目構成。

 オーケストラはほぼ毎年おなじみの名手を集めたメンバーで、今夜は音楽祭総合プロデューサー徳永二男をコンサートマスターに、トップサイドには漆原啓子が居り、第2ヴァイオリンのトップに漆原朝子と川田知子が並び、その他にも伊藤亮太郎(ヴァイオリン)、扇谷泰朋(同)、三浦章弘(同)、横山奈加子(同)、川崎雅夫(ヴィオラ)、古部賢一(オーボエ)三界秀美(クラリネット)らをはじめとして、錚々たる顔ぶれがメンバー表に名を連ねている。

 こういう特別編成のオーケストラは、うまく行った時には凄い演奏になるし、そうでなければ粗っぽい演奏になるものだ。
 冒頭の「道化師の朝の歌」はその後者のほうだったが、しかしチャイコフスキーの協奏曲の後半からみるみるうちにバランスを回復、ラフマニノフでは常設のプロ・オーケストラでさえこれ以上の演奏は望めまいと思えるほどの域に達していった。
 実際、この「交響的舞曲」の第2楽章のワルツが、これほど暗く頽廃的で、クルト・ヴァイル的な香りを漂わせていた演奏は、これまで聴いたことがないほどである。そしてまた、曲の細部も実に明解に描き出された結果、ラフマニノフがいかに第2次大戦前の欧米の音楽の趨勢に敏感であったかを改めて認識させてくれるというタイプの演奏にもなっていたのであった。

 最後の「ラ・ヴァルス」は、オケのリズムがまた少し重くなった。まるで、大きな重い女性を一所懸命振り回しながら踊る、といった感じ。しかし、豪華な雰囲気はあった。このオーケストラはどうやら、洒落たエスプリの方は苦手らしい。
 ただ、コンマスが大先生でなく、若い人になれば、また違った雰囲気も出るだろう。以前、小曽根真がアンコールでジャズの即興を弾き、途中からモーツァルトの協奏曲(その前の本プロでやったもの)に変わって行った時、オケのメンバーがアドリブで入って行ったこともあるのだから。

 なお協奏曲でソロを弾いたロシア出身の若手キリル・ゲルシテインは、なかなか達者な、活気あふれる演奏を聴かせる人だ。協奏曲では猛烈にバリバリ弾きまくったのには少々たじろがされたが、アンコールで弾いたガーシュウィンの「エンブレイサブル・ユー」では詩的なニュアンスを感じさせていた。結構幅の広いピアニストのようである。

 最終日(24日)のプログラムに入っている「惑星」(合唱:東京オペラシンガーズ)では、橋本邦彦のナレーションに、NASA提供の宇宙の映像が使われる由。いろいろ趣向が凝らされている。
 思えば、デュトワが音楽監督をつとめていた頃のN響のプログラムにも、あれこれ変った面白い試みがたくさんあった。やはり、この指揮者は、面白い人だ。

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