2016・3・27(日)藤岡幸夫指揮静岡交響楽団
静岡市清水文化会館マリナートホール 2時
東海道線清水駅は、静岡駅からは3つ目、15分とかからない。
その東口、つまり「みなと口」に、改札口から回廊が伸びている。富士山が目の前に見え、広がる海から潮風が吹きつけて来る。また風は冷たいが、紛れもなく春の空気だ。
80年代前半、FM静岡(現K-MIX)の立ち上げ業務のために4年ほどFM東京から出向して浜松に住んでいた頃を思い出す。当時、電通の某氏から聞かされた「静岡の春は一気に来ますよ」という素敵な言葉が、今でも懐かしく頭の中に残る。
その回廊は、駅よりもう少し海の近くに建つ、立派なホールに繋がっている。4年前に開館した新しいホールだ。静岡県ならではの明るい外光をいっぱいに取り入れた明るいホワイエと、明るい木目調の舞台と客席。席数は1500というから、なかなかの規模だ。ただし今回は、1階客席(977)のみが使用されていた。
静岡交響楽団は、1988年に静岡室内管弦楽団「カペレ・シズオカ」として創立され、1994年から現名称となったオーケストラである。常任指揮者は昨年秋から篠崎靖男が務めているが、今日の第63回定期演奏会は、藤岡幸夫の客演指揮である。
プログラムは、吉松隆の「鳥は静かに・・・・」、ドヴォルジャークの「チェロ協奏曲」(ソリストは遠藤真理)および「交響曲第8番」。なお、アンコールとして遠藤がカタロニア民謡「鳥の歌」を弾き、藤岡と静響はグリーグの「過ぎし春」を演奏した。
このオーケストラを聴いたのは、実は今回が初めてなのだが、弦が驚くほど良い。コンサートマスターに青木高志、ヴィオラの首席に渡邉信一郎、チェロの首席に川上徹、という錚々たるツワモノが座っているせいもあろうが、とにかく弦全体が良い音を出す。少し地味な音色だが、しっとりして柔らかく、最強奏でもヒステリックにならないのがいい。
木管群も安定している。但し金管と打楽器は、最強奏の際に響きがやや詰まった感じになるが、これはホールのアコースティックも関係しているだろう。
それゆえ今日は3曲とも、柔らかい響きの楽想の部分がとりわけ印象に残った。しかし最強奏の場合でも、藤岡の情熱的な制御による弦と管のバランスの良い個所では━━協奏曲では第2楽章以降、交響曲も第1楽章中盤以降など━━極めてまとまりの良さを示していたのだった。特に交響曲では、第3楽章での弦のカンタービレが澄み切って美しく、第4楽章では追い込みの突進に見事な勢いが感じられた。聴き応え充分である。
協奏曲では遠藤真理が、相変わらずスケールの大きな演奏を繰り広げた。爽やかで清々しいドヴォルジャークである。「鳥の歌」も、率直な演奏が美しさを生んでいた。
彼女がNHK-FMでDJをやっていることは周知の事実だが、今日もプレトークでは、例のごとく歯切れの良い、リズミカルで筋道立った話しぶりを披露してくれた。これが、藤岡氏のちょっとヤーさまチックなトークと、なかなか面白い対照を為していた。
4時10分頃の終演で、そのあと楽屋に行って少し雑談をしていたのだが、間に合わないだろうと思っていた4時半過ぎの東海道線下り列車に乗れ、しかも静岡駅では券売機で少し手間取ったにもかかわらず、4時52分の「こだま」に乗れてしまった。早いものである。
東海道線清水駅は、静岡駅からは3つ目、15分とかからない。
その東口、つまり「みなと口」に、改札口から回廊が伸びている。富士山が目の前に見え、広がる海から潮風が吹きつけて来る。また風は冷たいが、紛れもなく春の空気だ。
80年代前半、FM静岡(現K-MIX)の立ち上げ業務のために4年ほどFM東京から出向して浜松に住んでいた頃を思い出す。当時、電通の某氏から聞かされた「静岡の春は一気に来ますよ」という素敵な言葉が、今でも懐かしく頭の中に残る。
その回廊は、駅よりもう少し海の近くに建つ、立派なホールに繋がっている。4年前に開館した新しいホールだ。静岡県ならではの明るい外光をいっぱいに取り入れた明るいホワイエと、明るい木目調の舞台と客席。席数は1500というから、なかなかの規模だ。ただし今回は、1階客席(977)のみが使用されていた。
静岡交響楽団は、1988年に静岡室内管弦楽団「カペレ・シズオカ」として創立され、1994年から現名称となったオーケストラである。常任指揮者は昨年秋から篠崎靖男が務めているが、今日の第63回定期演奏会は、藤岡幸夫の客演指揮である。
プログラムは、吉松隆の「鳥は静かに・・・・」、ドヴォルジャークの「チェロ協奏曲」(ソリストは遠藤真理)および「交響曲第8番」。なお、アンコールとして遠藤がカタロニア民謡「鳥の歌」を弾き、藤岡と静響はグリーグの「過ぎし春」を演奏した。
このオーケストラを聴いたのは、実は今回が初めてなのだが、弦が驚くほど良い。コンサートマスターに青木高志、ヴィオラの首席に渡邉信一郎、チェロの首席に川上徹、という錚々たるツワモノが座っているせいもあろうが、とにかく弦全体が良い音を出す。少し地味な音色だが、しっとりして柔らかく、最強奏でもヒステリックにならないのがいい。
木管群も安定している。但し金管と打楽器は、最強奏の際に響きがやや詰まった感じになるが、これはホールのアコースティックも関係しているだろう。
それゆえ今日は3曲とも、柔らかい響きの楽想の部分がとりわけ印象に残った。しかし最強奏の場合でも、藤岡の情熱的な制御による弦と管のバランスの良い個所では━━協奏曲では第2楽章以降、交響曲も第1楽章中盤以降など━━極めてまとまりの良さを示していたのだった。特に交響曲では、第3楽章での弦のカンタービレが澄み切って美しく、第4楽章では追い込みの突進に見事な勢いが感じられた。聴き応え充分である。
協奏曲では遠藤真理が、相変わらずスケールの大きな演奏を繰り広げた。爽やかで清々しいドヴォルジャークである。「鳥の歌」も、率直な演奏が美しさを生んでいた。
彼女がNHK-FMでDJをやっていることは周知の事実だが、今日もプレトークでは、例のごとく歯切れの良い、リズミカルで筋道立った話しぶりを披露してくれた。これが、藤岡氏のちょっとヤーさまチックなトークと、なかなか面白い対照を為していた。
4時10分頃の終演で、そのあと楽屋に行って少し雑談をしていたのだが、間に合わないだろうと思っていた4時半過ぎの東海道線下り列車に乗れ、しかも静岡駅では券売機で少し手間取ったにもかかわらず、4時52分の「こだま」に乗れてしまった。早いものである。
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