2024-03

2008・8・17(日)旅行日記第3日 エディンバラ国際音楽祭
ゲルギエフ指揮ロンドン響のプロコフィエフ・チクルス最終夜

  エディンバラ、アッシャー・ホール

 日曜日のせいもあって、客は完全に満員。
1曲目は「交響曲第6番」だが、これはプロコフィエフの交響曲の中でも最も説明し難いものではなかろうか。「5番」で円熟の手法を見せた筈の彼が、再び「バッド・ボーイ」的作風に戻ったかのような曲想だし。

 2曲目は「ヴァイオリン協奏曲第2番」で、再びレオニダス・カヴァコスが登場した。
 「1番」でもそうだったが、他のヴァイオリニストならバリバリ弾きそうな個所でも、彼は実に陰影濃く、しかも叙情味を含ませて演奏する。しかもリズミカルでエネルギー豊かな進行を充分に音楽に備え、作品全体を見通しよく組み立ててみせるのだ。これほど硬軟兼ねた演奏のプロコフィエフは、そう多くはないだろう。今日のプログラムの中で最も客が沸いたのは、皮肉にもこの曲であった。

 最後に「交響曲第7番」。
 ゲルギエフはこの曲について、「札幌のバーンスタインのように、齢を重ねた人間が最後に思い起こす使命は若者に教え伝えることだと意識したプロコフィエフの作品」だと指摘していた。
 もっとも、ゲルギエフが指揮すると、そこには野生的かつ情熱的なエネルギーが噴出して来るので、必ずしもこれが達観的境地に入った作品として聞こえるわけでもない。
 終結部では、静かに終る方の版が使われた。チクルスのエンディングとしては華やかさに欠けるが、ロシアではこの版による演奏の方が多いとかいう話も聞く。このあたりにも、ゲルギエフのプロコフィエフ観といったものが垣間見えるような気もする。

 長いプログラムなので、終演はやはり10時半となった。
 今夜は珍しく雲が切れていて、プリンセス・ストリートを歩いていると、ライトアップされたエディンバラ城の斜め上方に恐ろしく巨大な満月が堂々と輝いているのが見える。満月と欧州の古城という組み合わせは、なかなか壮絶な景観である。少し歩くと、満月は古い尖塔のうしろにかかる。まさにドラキュラでも現われそうな光景だ。同じ月でも、見る場所によっていろいろな性格を持つものである。音楽や演奏と同じように。

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