2024-03

2008・8・28(木)ベルリン・フィルの映画 

    映画美学校第2試写室

 ベルリン・フィル創立125周年記念として昨年製作された映画が2本。

 一つはトマス・グルベ監督の「ベルリン・フィル 最高のハーモニーを求めて」(原題 TRIP TO ASIA The Quest For Harmony)で、中国・韓国・台湾・日本への演奏旅行と現地の風景、それにラトルやベルリン・フィル楽員たちの個々の心象とを併せて綴った構成。赤裸々な告白もある音楽家たちの素顔が描かれている点で興味深い。

 が、全篇108分を同じパターンで押し通しているため、長すぎて起伏に乏しいと感じさせる恨みがある。
 その中では、台北で若者たちからポップス・スター並みの大歓呼を受け、ラトル一同が感激するシーンがすこぶる感動的であった。このくだりと、台北の人々の表情や、離陸していく飛行機などの映像、そこに流れる「英雄の生涯」の最後の部分とは、きわめて見事なクライマックスを構成していた。
 しかし、ここで終らせてはあまりにロマンティックすぎる、というのがグルベ監督の考えなのだろうか。そのあとにまだ東京のシーンが、しかも前述の同じパターンで続くのだが、ここがどうも蛇足の感を免れないのである。
 とはいえ、全体として、音楽を聴くことの悦びを十二分に感じさせてくれる映画といえよう。字幕も解り易い。11月中旬からロードショーの由。

 もう一つは、エンリケ・サンチェス=ランチ監督の「帝国オーケストラ」。原題は「The"Reichsorchester" The Berlin Philharmonic and the Third Reich」。
  最初のPR資料では「ナチのオーケストラ」などという題名になっていたので、また例の――平和の時代にしか生きていない連中が、自分たちが体験してもいない時代で苦悩しつつ必死に生きた人間たちに対し、正義感まがいの天下泰平さをもって断罪して得意になる――あのパターンかと思って警戒していたのだが、幸いに原題に忠実な邦題に変更されていた。

 これは、現在80代、90代になる当時の楽員2人の証言を中心に、記録映像を織り交ぜて構成した映画だ。前述の映画で描かれた心象とは次元が全く違う。息詰まるような、恐るべき物語である。
 彼らが苦悩したことを、後世の泰平に生きる者たちが、単なる結果論だけで批判することなど、思い上がりも甚だしかろう。
 なお、当時の記録映像そのものは、これまでLDやVHS、DVDで見る機会のあったフルトヴェングラーの映画などからの引用(第9、「マイスタージンガー」前奏曲など)も多く、特に珍しいものは意外に少ない。こちらは11月下旬より公開の由。97分。

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