2024-03

2008・8・31(日)パノハ弦楽四重奏団

  紀尾井ホール

 早朝の「スーパーあずさ」で帰京し、午後3時からのマチネーを聴く。

 パノハ四重奏団の演奏は、いつも温かい。一種の手づくり的な音楽の雰囲気を備えたこのような弦楽四重奏団が今なお根強い人気を持ち、演奏会が満席になるという状況はうれしいものである。今日のプログラムは、ハイドンの「ロシア四重奏曲」の第6番、シューベルトの「第10番」、スメタナの「わが生涯より」の3曲。

 この中での圧巻は、やはり「わが生涯より」であった。先日、PMFでの東京クァルテットのあまりに素っ気無い演奏を聴いて腹立たしく思ったばかりなので、今日のこの演奏を聴いて溜飲を下ろしたような感がある。第1楽章など、冒頭から悲劇的な物語が開始されたという印象であり、その曲想の合間を縫って、雲間から時折光が射すように希望と安らぎの感情が現われるといった標題音楽的な進行が聞き取れる。このあたりでのスメタナ特有の細かい転調の妙味は、こういう演奏でなくては堪能できない。
 第3楽章は、ほとんど慟哭の歌だ。第1ヴァイオリンのイルジー・パノハが、聴き手の心に届けというような身振りで演奏する様子は、いつ見ても胸に迫る姿である。フィナーレ大詰めでの、明るい思い出が寂しく消えて行くくだりのパノハ四重奏団の情感豊かな演奏は、彼らが祖国の大作曲家に対して抱く愛情と共感とを痛いほどに感じさせる。

 前半の2曲は、当然ながらそれほど感情移入の激しいものではなく、いずれもしっとりした美しさと温かさにあふれた演奏だ。特にシューベルトで、これほど旋律をさりげなく、しかも心のこもった表情で歌う弦楽四重奏団は、今日ではほとんどいなくなった。
 アンコールで演奏してくれたモーツァルトの「K.171」からの「メヌエット」がまた絶品だった。
    モーストリークラシック11月号演奏会Reviews

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