2024-02

2008・9・15(月)二期会「エフゲニー・オネーギン」最終日

  東京文化会館

 12日(初日)とは別キャストで、こちらの方が若い世代が多い。

 そのためか、役柄表現――演技はまだまだこれからという人が多く、特にタチヤーナ役やレンスキー役の歌手は、演技以前の――素人芝居の段階にあると言わなければならない。ただ、みんな声楽的には非常に期待が持てる人たちばかりなので、何とか外国の歌手を見習って、1日も早く本格的なオペラの演技を習得して欲しいと願うこと切である。

 しかしその中で、オネーギンを歌った与那城敬は一歩先んじた存在だ。これで声楽的にも演技的にも研鑽を積めば、わが国のオペラ界のトップスターになれることは間違いあるまい。例のラストシーン――タチヤーナが破り捨てるかつての「手紙」を必死に掻き集めて彼女にすがっていたオネーギンが、彼女の最後の言葉を聞くや、ついに逆ギレ状態になり、こんな馬鹿馬鹿しい役回りなどごめんだという顔で紙切れを放り出し、立ち去るあたりの歌唱と演技は、初日の黒田博に勝るとも劣らぬ出来であった。

 この幕切れの場面は、コンヴィチュニー得意の一種のオチというべきか、面白い発想である。このあと、幕が上がって人々が整列しているのが見え、オネーギンもその中に入って行き、これまでのことはすべて茶番劇だったと言わんばかりに冷静に戻る。音楽が終ってもタチヤーナだけが一人ムキになったまま、延々と手紙を破っているという設定は少々蛇足に見えるけれども、この物語の「シリアスな女」と「シニカルな男」の対比を描き出すには、役立っているだろう。あるいは、ムキになっている女は相手にせず、という男のメンツを最後に保たせた設定、ということにもなるか?
    詳細グランドオペラ 2009 春号

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