2024-03

2018・4・7(土)川瀬賢太郎指揮神奈川フィルハーモニー管弦楽団

     横浜みなとみらいホール  2時

 レナード・バーンスタイン生誕100年記念のプログラム。
 「ウェストサイド・ストーリー」の「シンフォニック・ダンス」は、まあ客寄せという意味合いもあるだろうが、それを挟んで最初に「スラヴァ!(政治的序曲)」を置き、後半に「交響曲第1番《エレミア》」を配した選曲は、なかなかに意欲的である。コンサートマスターは石田泰尚。

 「スラヴァ!」は、1977年、ロストロポーヴィチ(彼の愛称がスラヴァだった)のワシントン・ナショナル響音楽監督就任を記念して書かれた曲とのこと。私はこれをナマで聴くのは初めてである。何ともけたたましい、躁状態的な小品だが、最近とみに鳴りっぷりのよくなった神奈川フィルは、川瀬の獅子奮迅の指揮に応じ、賑やかに演奏していた。もっとも、正直なところ、何が何だか判然としないような騒々しさのうちに終ってしまったという感がなくもないのだが・・・・。

 そのあとで「シンフォニック・ダンス」を聴くと、こちらはやはり叙情的な部分と狂乱的な部分の対比が巧みに構築された作品であることを再認識させられるだろう。川瀬と神奈川フィルの演奏は、最初のうちは、枠からはみ出さぬように気をつける、といったような、ややおとなしい印象も受けたものの、やがて申し分なく盛り上がって行った。そして最終部分の弦の叙情的な美しさは絶品であった。

 「エレミア交響曲」をナマで聴ける機会を得たのは、本当に嬉しい。第1楽章にメシアンやヤナーチェクなどの影響が見え隠れすることに初めて気づかされたのは、川瀬と神奈川フィルの演奏が丁寧なものだったからかもしれない。それは音の構成を明確に照らし出した、しかもすっきりした響きの構築なのだが、同時に線の細い綺麗ごとに終らぬ堅固さも持ち合わせた演奏でもあったのである。
 また第3楽章の「哀歌」では、福原寿美枝が実に深々とした厳しい悲劇的な絶唱を聴かせてくれた。これまで、オペラの舞台における彼女の「怖い」役柄表現には何度も感服した経験があるが、今日の歌唱で、また彼女の新たなる凄味の魅力を知った次第であった。

 川瀬と神奈川フィルは、この沈鬱な音楽の感動に浸った状態のままで演奏会を終るという形は採らなかった。アンコールでは、「マンボ!」の部分を、聴衆をも巻き込んで演奏したが、ここではオーケストラは、先ほどの本番の時よりも一段と解放されたような雰囲気で、賑やかに鳴りわたった。おとなしく物静かな、拍手もほとんどしないで座っている高年齢層の聴衆━━特に1階席前方に多い━━をすら、一緒に盛り上げてしまう川瀬のエンターテインメント性は、見上げたものである。

 終演後、渋谷のオーチャードホールへ移動。

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