2024-03

2018・11・19(月)浜松国際ピアノコンクール第3次予選第1日

      アクトシティ浜松中ホール  12時30分

 ガヴリリュク(第4回)、ブレハッチ(第5回)、チョ・ソンジン(第7回)など錚々たる優勝者を輩出してきた浜松国際ピアノコンクール、今年は第10回。
 地元での人気もすこぶる高く、本選など完売の日も多いとのこと。さすが、あの「蜜蜂と遠雷」(恩田陸著)の効果抜群、とも言われてはいるが、コンクール事務局の現場としてはそう言われるのは些かシャクなようで、「やはり10回の実績」の結果なのだと主張していた。

 今回は37か国1地域から382人が応募、うち男226人、女156人。日本国籍130人、外国籍252人(韓国70人、中国47人、ロシア35人、アメリカ13人━━以下略)。
 出場承認者は95人(男67人、女28人。国籍は日本25、韓国18、ロシア14、中国13、アメリカ4━━の順)で、このうちコンクール本番までに7人ほどが出場を辞退、実際の出場者は88人であった。

 そこで今日と明日が第3次予選というわけだが、残っていた12人の中に女性が1人もいないのには少々驚いた。国籍別では日本が5人(異例に多い)、韓国が2人、ロシアが2人、中国が1人、アメリカ・トルコ各1人、という具合に例年とは少々雰囲気が違うようである。

 コンペティターはそれぞれ70分の時間を与えられ、その中で、最初に室内楽としてモーツァルトの「ピアノ四重奏曲」の「第1番」もしくは「第2番」を演奏、それから得意のレパートリーを何曲か弾くことになる。
 室内楽での協演は例年のように錚々たる顔ぶれで、漆原啓子、川久保賜紀、鈴木康浩、松実健太、向山佳絵子、長谷川陽子。

 今日、初日の出場者は、演奏順にアンドレア・ゼーニン(露)、務川慧悟(日)、安並貴史(日)、牛田智大(日)、キム・ソンヒョン(韓)、ザン・シャオルー(中)。
 この中では、今春の「野島稔・よこすかピアノコンクール」で優勝した安並貴史(26歳)と、既に一般の演奏会で人気を得ている牛田智大(19歳)が出ているのが話題となっている。(因みに安並は静岡県出身者だそうで、翌日の静岡新聞は彼の演奏のことだけを大きく報道していた。やっぱりね、という感)。

 その安並は、第3次ではコンクールにありがちなテクニックを誇示するような作品ではなく、シューベルトの「即興曲作品90の1」やベートーヴェンの「ソナタ第31番」など、正面切った、落ち着いた曲を選んでいたのが注目された。これらの作品では端整で整然とした演奏を聴かせていたが、もう少し表情に多彩さがあればと思う。室内楽(第1番)では、細かいニュアンスの変化を示していた。

 一方、牛田は、シューベルトの「即興曲作品90の3」ではたっぷりした厚みのある和音を響かせ、転調の際のエスプレッシーヴォやテンポの調整でも表情の細やかさを聴かせた。おとなのシューベルト、という感である。一転してリストのソナタでは、ダイナミックだが威圧的でない、どちらかと言えば軽やかで淡彩な性格を持った演奏、といった印象を得る。
 しかし、弱冠19歳にしてこれだけの音楽を聴かせるというのは、やはり抜きんでた才能と言うべきである。ステージマナーも流石に物慣れていて、答礼の仕方も決まっているし、室内楽(第1番)の演奏後には奏者ひとりひとりと握手を交わすなど、既にプロとしての雰囲気を示していた。

 彼のあとに登場したキム・ソンヒョンも、シチェドリンの小品2曲のあとにショパンの「24の前奏曲」という、コンクールとしては「静謐な趣き」の作品を取り上げていたのが興味深い。多少地味な印象になったのは致し方なかろう。それでもやはり最強奏の個所では、多少「コンクール向き」の演奏になったようだが。

 今回の審査員は以下の通り━━小川典子(審査委員長)以下、迫昭嘉(副審査委員長)、ロナン・オホラ(同、英)、ポール・ヒューズ(英)、ヤン・イラーチェク・フォン・アルニン(独)、アレクサンダー・コプリン(米/露)、ムーン・イクチュー(韓)、エリソ・ヴィルサラーゼ(露)、ウタ・ヴェヤント(独)、ウー・イン(中)、ディーナ・ヨッフェ(イスラエル/独)。

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