2024-03

2018・12・9(日)ジョナサン・ノット指揮東京交響楽団「フィガロの結婚」

       サントリーホール  1時

 昨年の「ドン・ジョヴァンニ」に続くノット&東京響のモーツァルトのオペラ。一昨日の川崎に続く、今日が2回目の公演。歌手たちがオーケストラの周囲を動き回って繰り広げる演技を含ませた、演奏会形式上演である。

 その歌手の顔ぶれは、マルクス・ヴェルバ(フィガロ)、リディア・トイシャー(スザンナ)、アシュリー・リッチズ(アルマヴィーヴァ伯爵)、ミア・パーション(伯爵夫人)、ジュルジータ・アダモナイト(ケルビーノ)、アラステア・ミルズ(バルトロ&アントニオ)、ジェニファー・ラーモア(マルチェリーナ)、アンジェロ・ポラック(ドン・バジリオ&ドン・クルツィオ)、ローラ・インコ(バルバリーナ)。
 それに新国立劇場合唱団、コンサートマスターは水谷晃、レチタティーヴォのハンマー・フリューゲル演奏はノット自身。演出の監修はアラステア・ミルズ(マイルズ)が担当した、とクレジットされている。

 歌手陣は、マルクス・ヴェルバを筆頭に粒のそろった素晴らしい歌唱を聴かせてくれた。
 伯爵役のリッチズも、声不調との事前アナウンスがあったものの、声をセーヴしつつ破綻なく謳い上げていた。ジェニファー・ラーモアも、ふだんは省略されるマルチェリーナのアリアを実に鮮やかに歌い上げ、さすが練達の味、という感である。
 これらの優れた歌手たちが均衡豊かなアンサンブルをつくり出していたことも、演奏の成功の一つの大きな要素であったろう。また、必要最低限の演技においても、指揮者ノットをも巻き込んでの表現力豊かなステージを繰り広げてくれたのである。

 そのノットの指揮も、東京響の演奏も、今日はまさに卓越した演奏だった。
 弦が小編成(6-6-4-3-2)のため、2階席最前列正面で聴いた印象では、東京響の音は全体にヴェールのかかったような柔らかいものになり、響きの重心もやや低いところに置かれたように聞こえた。
 だが、ノットの軽快で飛び行くようなテンポは、沸き立つ生命力に富む音楽をつくり出していた。25分の休憩を一度入れての終演は4時25分だったから、テンポの速さもなかなかのものだ。

 音づくりは、予想外になだらかで柔らかいが、メリハリがないということでは決してない。第3幕での娘たちの合唱(第21番)の、グラツィオーゾと指定された序奏での特に第1ヴァイオリンは、スラーの指定に従い、微風が吹くような優しさで奏されたのが印象的だった。 
 総じて、これほど率直で爽快な演奏の「フィガロの結婚」も、そうは多く聴けないだろう。ノットと東京響、絶好調だ。

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