2024-03

2018・12・18(火)ダニエル・ハーディング指揮パリ管弦楽団

      サントリーホール  7時

 第1部にベートーヴェンの「田園交響曲」、第2部にマーラーの「交響曲第1番《巨人》」というプログラム。

 「田園」は、昨夜の演奏より格段に良かったのではないか。木管の繋がり具合もバランスも完璧で、輝きのある音色を満載した「田園」が聴けたと思う。
 第5楽章は昨日と同様、ゆったりとしたテンポで、細部の造りには凝りに凝ったところが聴かれ、解放的な牧歌というよりは緊迫感に満ちた巨大な抒情詩といったイメージで、通常の演奏よりも長さを感じさせるものではあったが、1曲目だったせいか、昨夜よりは疲れなかった。
 第1楽章提示部の反復を含め演奏時間は45分、やはりテンポ遅め、演奏時間も長めということになろう。

 「巨人」でも、第1楽章提示部の反復を遵守した演奏になっていた。全体にストレートなアプローチではあるものの、細部まで神経を行き届かせた精緻な構築だったことは「田園」と同様である。このオーケストラらしい、ブリリアントで壮麗な演奏が繰り広げられていたことはいうまでもない。

 思えばこの2カ月間、いや1カ月の間に、「巨人」を聴く機会が多かった━━メータとバイエルン放送響、ゲルギエフとミュンヘン・フィル、沼尻竜典と日本フィル、そしてこれ。独・日・仏のオケによる「巨人」の聴き比べだったが、どれもお国柄およびそのオケのカラーをはっきりと示した演奏であった。このパリ管の「巨人」も、まさにフランスのオケでなければ出せない華麗さ、艶っぽい音色、洒落たニュアンス、各楽器のソロの闊達さ、奏者たちのよい意味での自己顕示欲のようなものなどに溢れていて、すべて魅力的であった。

 ただ、ハーディングとパリ管の演奏は━━前回の来日の際のマーラーの「5番」でも言えたことだったが━━全曲最後のクライマックスでの一押しが、何となく物足りない。ゲルギエフのような、すでに全力を出し切ったと思われる盛り上がりの中に、更にもう一段階の強大な力感を加えるなどという大わざは滅多に出来ることではないけれども、今日の演奏では、最後の頂点がそれ以前の頂点のさらに上を行くという設計には少々乏しかった━━という印象を受けるのである。

 アンコールは、エルガーの「エニグマ変奏曲」の中の「ニムロッド」。これはまるで、あのテミルカーノフのお株を取ったような、いやそれ以上の見事な演奏で、特に弦楽器群の壮麗さと厚みのある響きと、それに情感たっぷりな昂揚感が見事を極めた。

 パリ管と、その音楽監督ハーディング、かように相性は上々と思われるのに、僅か1シーズンで来年6月には関係終了と聞く。理由は知らないが、惜しいことである。

コメント

お疲れ様です。
田園交響曲はピリオド奏法の演奏で、特に木管の嬉遊的な動きが目立った。巨人は、2楽章主部の異常なまでの激しさが印象的。この強烈さが、中間部の柔らかな歌を活かす。4楽章は、フランスのオケらしい明るい音色が、解放感を漲らせる。アンコールは、エルガー「謎」よりニムロッド。

京都と大阪で拝聴しました。

京都ではサントリーホール初日と同プログラム、千秋楽の大阪では、ベルクのヴァイオリン協奏曲とマーラーの[巨人]でした。ハーディングさんのお姿は痛々しかったですが、拝聴出来て嬉しかったです。イザベルさんの演奏は、集中力が完成度を高めているような感じでした。オケの音色は、フランスならではの、エレガントさと艶やかさを感じます。それぞれの個性が光る見事な演奏だったと思います。ハーディングさんとパリ管は来年までだそうですね。惜しいです。

ハーディングのマーラー

ハーディングのマーラーが聴きたくて、18日、足を運びました。
その「巨人」では、沸き立つような香り、力強さ、爆発力…このあとどんな物語が展開されるのだろうと思わせるような、ワクワク感がありました。久しぶりに、巨人を聴いて元気になったし、マーラーの曲っていいなあと久しぶりに実感できました。
アンコールも、マーラーの後に負けない選曲、美しくかつ壮大な演奏で、素晴らしい締めくくりでした。

パリ管の任期が終わってしまうハーディング、MCOとの来日もありますが、スウェーデン放送交響楽団との再来日もぜひ果たしてほしいです。カジモトのアンケートには最近毎回書いています(管轄外のような気もしますがとりあえず)。骨折のアクシデントがなくサイン会があれば、本人にも彼らとのCDが好きなこととあわせて伝えたかったのですが。なんとか実現しないかなぁ。マーラーの第9番など、きっと美しい演奏を聴かせてくれると思います。

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