2024-03

2008・11・18(火)ロッシーニ・オペラ・フェスティバル「マホメット2世」

   オーチャードホール

 イタリアはペーザロの「ロッシーニ・オペラ・フェスティバル」初の日本引越公演。今回は「マホメット2世」と「オテロ」という、珍しい作品二つでやって来た。びわ湖での公演を経て、今日が東京初日。いい上演だった。

 「マホメット(メフィト)2世」は15世紀に実在、かのコンスタンティノープルを落城させ、東ローマ帝国を滅亡させたトルコの皇帝のことである。イスラム教の祖ムハンマドとはもちろん別人。
 今回はナポリ初演に使われた、悲劇的なエンディングによる版による上演。

 演出はミヒャエル・ハンペで、例のごとく手堅いオーソドックスなスタイルだが、彼らしく辻褄を合わせた舞台づくりは、安心して見ていられるたぐいのものだ。
 登場人物が長いアリアを歌っている間の舞台の動きをどうするか、というのは演出の重要なテクニックでもあるが、あれこれ滅茶苦茶な動きを入れてかき回すのが好きな現代の若手演出家たちに対し、常に音楽とドラマの本筋に沿った演技を添えるのが老練ハンペの演出の特徴である。
 ただ、もともとストーリイ的に「おかしなところ」だらけのこのオペラだから、ハンペといえども以前の「どろぼうかささぎ」や「チェネレントラ」でのように、理屈で固めた演出を施すわけには行かなかったようにみえる。

 で、なんといっても光ったのは、アルベルト・ゼッダの指揮であった。この人のオペラ指揮の巧さには、いつもながら感心してしまう。音楽のもって行き方といい、歌を巧みに立てつつもオーケストラをして雄弁に語らせるテクニックといい、まさにオペラの名匠と呼ばれるにふさわしいだろう。
 ボルツァーノ・トレント・ハイドン・オーケストラの演奏は柔らかく拡がりがあり、実に美しい音色であった(1階席12列ほぼ中央で聴いた印象では、あまりにソフトな響きに過ぎるとも感じられたが、2階のバルコン席あたりではまた異なる音に聞こえたのでは?)。ロッシーニの音楽の美しさを存分に表出してくれたのがありがたい。

 ヒロインのアンナはマリーナ・レベカ。後半にいたってぐんぐん調子を上げていった。パオロ・エリッソ役のフランチェスコ・メーリの明快でよく伸びる声は快い。マホメット2世を歌ったロレンツォ・レガッツォの声が意外に伸びて来なかったのは、こちらの席の位置の関係だったのか。

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