2024-02

2008・11・24(祝)ヤナーチェク:オペラ「マクロプロス家の事」

   日生劇場 マチネー

 「マクロプロス家の事」とは、耳あたりも字ヅラも、何んか座りのよくないタイトルですね。といって「マクロプロス家之事」ではお家騒動か何かのようで。
 その点、以前呼ばれていた「マクロプロスの事件」の方がものものしくて、300年以上も不死の生命を保った怪奇な美女エリナ・マクロプロスの物語には合っているような。

 今回の上演は、東京二期会と日生劇場の共催だが、鈴木敬介の演出となれば、ごく伝統的な手法の舞台になるであろうことは最初から予想されたところ。事実、出来上がったのは、写実的な光景(パンテリス・デシラス美術)と、さほど微細でない平凡な演技のみの舞台であった。
 舞台美術は、伝統的なものでも一向構わない。だが、かように演劇的要素の希薄な、アイディアの欠如した演出の結果、人間の生と死の神秘性――不老不死なるものが果たして幸福であるか否かを抉り出すはずのこの物語は、ただ表面的に描かれるだけにとどまり、全く単調な進行に終始してしまったのである。登場人物の表情、他の人物の動きに対する微細な反応などにも、ドラマトゥルギーは全く読み取れないままだった。――せっかくの上演なのに、もったいない話だ。

 ただ、それは別として、主人公のエリナ(=エミリア・マルティ)役を歌った小山由美の力演は讃えたい。チャペックの原作における「氷のような冷たい女」の像は、ヤナーチェクのオペラ化に際しての意図とも更にまた異なって、かなり蓮っ葉な――ルルに近いような――性格の女として演じられたが、これはこれで一つの解釈かとも思う。

 演奏は、クリスティアン・アルミンク指揮する新日本フィル。この劇場のドライな音響効果を巧く解決していたとは残念ながら言い難く、いささか痩せて潤いを欠き、コマ切れの音楽に聞こえた。しかし終結近く、エリナの心に疲れと安息感が次第に沸きあがって来るあたりの演奏のもって行き方は、さすがにアルミンク、なかなか好い。

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