2024-02

2006・4・27(木)ルドルフ・バルシャイ指揮読売日本交響楽団

     サントリーホール  7時

 バルシャイ版によるマーラーの「交響曲第10番」が演奏された。以前、彼が都響と指揮した時の演奏よりも、オーケストラの威力という点で、こちらの読響の方が勝るだろう。
 実際には、オーケストラのアンサンブルは精密さに欠け、ヴィオラなど弦も粗く、金管の一部にもあまり一流プロ・オーケストラらしくない不安定なところがあったのは事実だが、そういう欠陥をも超越して、演奏にはバルシャイのえも言われぬ滋味が満ち溢れていたのだった。

 それは素朴で温かい、骨太の音楽である。モダンでクールな演奏で聴くこの交響曲ももちろん悪くはないが、このような豊満な音色となった「10番」も面白い。
 ウィーン新古典派への先鞭をつけたマーラーではなく、むしろショスタコーヴィチにその遺産を譲ろうとするマーラーの姿がここでは垣間見えるといっても間違いではあるまい。事実、第2楽章に入った途端に、音楽はまるでショスタコーヴィチのそれのようになっていく。このあたり、バルシャイの志向を示しているようで興味深い。

 第1楽章ではトランペットの鋭く長い叫びが他の金管も巻き込んでのコラール的な響きと化すのがバルシャイ独特の解釈だ。第2楽章からはいよいよバルシャイの解釈が前面に躍り出て、響きは分厚く、しかもタムタムをはじめ打楽器も多く加わってオーケストラは非常に色彩的になる。第5楽章での大太鼓は下手の楽屋から打ち出され、遠雷か、遠い彼方に余韻を残す運命の打撃の回想のような印象を与える。全曲最後の弦楽器の溶暗は見事であり、ここでは読響の力量が示されていた。

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