2024-03

2005・4・14(木)武満徹「マイ・ウェイ・オブ・ライフ」

      東京文化会館大ホール  7時

 ついにオペラを書くことなく世を去った大作曲家・武満徹を惜しみ、彼の作品の中からいくつかの曲を選んで繋ぎ合わせ、舞台上演した壮大な企画。ケント・ナガノの指揮、ペーター・ムスバッハの演出、エーリヒ・ヴォンダーの装置、アレクサンダー・コッペルマンの照明という優れたスタッフによるもの。

 作品は武満のいろいろな傾向のものから選ばれて接続されており、ミュージック・コンクレートから「ノヴェンバー・ステップス」のような邦楽器を使った現代風作品、あるいは晩年の叙情的で耽美的な、ロマンティックな傾向の作品にいたるまでが含まれている。
 その傾向の大転換には今更ながら驚かされる(ワーグナーに例えれば「妖精」から「パルジファル」までを接続曲に仕立て上げたようなものだ)。しかもその他に、武満が好きだったという「聞かせてよ愛の言葉を」や「思い出のサンフランシスコ」なども挿入されている。「系図」と「マイ・ウェイ・オブ・ライフ」からの抜粋が長さの点からいっても中核的存在になるだろう。

 いずれにせよこれは、形式としてはオペラではなく、といって適切な名称もありそうもなく、結局単なる舞台作品としか呼ぶ他はなかろう。休みなしに2時間近く、いささか長さを感じさせる。
 こうした試みはゲームとしては面白かろうが、しかし、音楽的な試みとしては果たして何程の意味があろう? 

 要するにこれは武満の作品ハイライトといったものだ。ただ、それはそれで、演奏、舞台とも完成度が高いことは間違いなく、プロダクションとしてみれば、むしろ上質なものといっていいかもしれない。━━おそらく中心コンセプトは、「永遠と無常」ということになろうか。

 最後の「思い出のサンフランシスコ」の部分では、著しく下卑た笑い声が延々と続く。その笑い声のしつこさには、いささか白ける。誰かが「あれは、あの世から武満さんが笑っているのだ」と言っていたが、武満さんがあんな笑い方をするはずはない。
 だがかりに、もしそうだと解釈すれば、それは「オペラを書かなかった私の茶番劇でござる」という自嘲の笑いかもしれないし、あるいは「この世はすべて喜劇」というあのファルスタッフ的な暗示なのかもしれない。
 登場人物はきわめて多く、費用のかかる上演であったことも確かだ。

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