2024-03

2005・4・20(水)ニューヨーク(2) MET「魔笛」

     メトロポリタン・オペラ  8時

 ヒラリー・レイさんからの電話を受け、METの楽屋口から入ってサラ・ビリングハースト副支配人の部屋へ。何か物々しい話かと思いきや、単なる挨拶が主だった。
 話題の中に一つ、ルネ・フレミングの日本での評価はどうなんでしょう、というのがあったが、METは妙にそれを気にしているらしい。METの中でこんな話を出されては、「いや日本でも人気は高いですよ」としか言いようがなく、先方もそれを聞いて「そうですか」と言ったのみだったが・・・・。

 この「魔笛」は、今シーズン話題の新プロダクション。
 ジュリー・テイモア(演出)とゲオルギー・ツィーピン(舞台美術)のコンビによる、なかなか素晴らしい舞台だ。ガラスの建物が回転し、照明により様々な形像に見せるのはツィーピンの得意業である。
 黒子のダンサーが活躍し、彼らが操る鳥や獣(大きな布で作られた熊の動きの可愛いこと!)、夜の女王の羽根のような衣装などの動きの見事さには、我知らずうっとりして覚えず溜息が漏れるほどであった。

 客席にも拍手や笑い声が絶えない。一つのナンバーが終るごとに拍手が起こったのは、歌よりもむしろこの舞台の楽しさ故のようだ。
 ザラストロの国の場面のデザインは基本的に中近東、ペルシャ辺りのそれに似て、タミーノの扮装は中国辺りの王子(顔も同様)。殊更教義的な要素も打ち出されておらず、ただ愉しく美しいメルヘンという演出で、こういうところがMETであると言えるのかもしれない。ただそれが並み外れて巧く出来ているので、それゆえ舞台としての説得力を生むことになる。

 マティアス・ゲルネのパパゲーノが、やはり光る。以前のザルツブルク音楽祭でのプロダクションでは道化師の扮装だったが、こちらはコミカルな鳥刺しの姿。
 ルネ・パーペは、今回はザラストロではなく、力に満ちた弁者。
 そのザラストロを歌ったクルト・モルはあまり体調が良くなかったらしく、ヨレヨレの出来だった。エリカ・ミクローザの夜の女王が鮮やかな高音を聴かせた。タミーノのグレゴリー・テュレイはまあまあの出来だろう。パミーナは黒人のニコル・ヒューストン。

 指揮はジェイムズ・レヴァインで、拍手は大きかったが、演奏はなんとも平凡だ。以前のレヴァインとは別人のように低調な指揮である。彼はもしや「不調」なのではないか?

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

«  | HOME |  »

























Since Sep.13.2007
今日までの訪問者数

ブログ内検索

最近の記事

Category

プロフィール

リンク

News   

・雑誌「モーストリー・クラシック」に「東条碩夫の音楽巡礼記」
連載中