2024-03

2020・8・23(日)東京21世紀管弦楽団創立第1回定期演奏会

       東京芸術劇場 コンサートホール  2時

 コロナ禍のため多くの自主運営オーケストラが経営危機に瀕しているさなかに、東京21世紀管弦楽団(Tokyo 21C Philharmonic)というフル編成のオーケストラが旗揚げした。

 音楽監督は浮ヶ谷孝夫、コンサートマスターは中島ゆみ子。協賛社には三菱地所、ALBION、セントラル自動車技研、西島、ポマト・プロ、公文教育研究会の各団体が名を連ねている。
 オーケストラの楽員は固定ではなく、各オーケストラでの経験を持つ奏者を核に据え、多数のフリーの若手奏者を集めて編成するという形だそうである。若手オーケストラ奏者を育成するというのがこの団体の、いくつかの目的の中の最大のものである━━という話であった。

 音楽監督・浮ヶ谷孝夫は、第1回定期のプログラムとして、ベートーヴェンの「コリオラン」序曲、ピアノ協奏曲第4番(ソリストは福間洸太朗)、「交響曲第7番」を指揮した。
 彼の指揮は、最近はあまり聞けなくなったタイプの、かつてのドイツの指揮者がよくやっていたような、重厚そのもののサウンド━━低音に基盤を置き、どっしりと重々しく音楽を組み立てるといったスタイルである。些か反時代的な、と言えるかもしれないが、これが彼の信条なのだろうし、それはそれで尊重されるべきだろう。
 とにかく彼はそのスタイルを、創設されたこの新しいオーケストラにたたき込んだ。精密なアンサンブルの構築や、機能性などよりも、古き良きドイツ音楽の精神性を今の若者に伝えたい、という彼の意図か。

 オーケストラは、その指揮に従い、「コリオラン」序曲の冒頭ではコントラバスが先に飛び出るなど、まるで1954年にカラヤンがN響に要求したような「低音優先」の響きで演奏を開始した。前半の2曲では暗く重々しく、時代がタイムスリップしたような感覚に誘われる演奏が続いたが、「7番」では第1ヴァイオリン群が明るい力を増し、重厚ながらも力感のある音楽をつくり出した。
 総体的に弦はよく鳴り、木管は時々粗くなり、ステージ最奥に位置したホルン群が音量的に弱い、という演奏だったが、これは私の席が2階中央のE列という位置だったことから受けた印象かもしれない。演奏のさなかに時々緊迫感が希薄に感じられることが多々あったのだが、これはむしろ指揮者に責任があるだろう。

 「東京21世紀管弦楽団」の第1回定期を聴いた私の印象は、大雑把だがこんなところである。
 だが、21世紀のこの多難な環境の中に船出した新しいオーケストラが、その方針のもとでどのような活動を展開して行けるのか、またこの指揮者との組み合わせのもとでどのような新しい路線を打ち出して行こうというのか、残念ながら今の私には見当がつかぬ、というのが本音だ。
 更にありていに言えば、今日の演奏を聴いた限り、このオーケストラからは、その名称とは裏腹の「古色蒼然」というイメージを感じてしまうのだが・・・・。せっかく発足した新しいオーケストラなのだ、即断は避けよう。

コメント

活動履歴の詳細を

「ドイツで活動している指揮者」と称するなら、「首席客演指揮者」の肩書きがあるというだけではなく、実際に何月何日にドイツのどこで何の曲を指揮したのか、ここ数年分だけでもプログラムやホームページに記載して欲しいです。日本で知られていない方なのですから、その辺は念入りになさった方が良いと思います。

宇宿允人氏が指揮していたフロイデフィルを思い出します。1度だけ聞きにいきました。

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

«  | HOME |  »

























Since Sep.13.2007
今日までの訪問者数

ブログ内検索

最近の記事

Category

プロフィール

リンク

News   

・雑誌「モーストリー・クラシック」に「東条碩夫の音楽巡礼記」
連載中