2024-02

2020・10・10(土)やまがた芸術の森音楽祭初日 山形交響楽団

      やまぎん県民ホール  2時

 土砂降りの東京を朝発って、昼近くに着いた山形は薄日も漏れる穏やかな天候。駅西口からホールへの屋根付き通路もほぼ完成に近づき、その傍らには新しいレストランも建設中とあって、整備も順調に進んでいるようだ。

 以前からある山形テルサホールに隣接してまたこのような大規模なホールを建設したことについて、地方では屡々起こる「税金の無駄遣い」という非難は出なかったのかとある人に訊ねたが、ホールの建設には「県産物」を多く使用したことで、「山形県の産業振興の顕れであり、文化振興の証でもある」という名目を立てることができ、非難を受けるのを避けられたのだ━━という話を聞いた。

 そこで、今日の音楽祭。2日にわたる開催だ。主役は山形交響楽団で、今日は指揮に太田弦を、ソリストに小曽根真を迎えての演奏会。コンサートマスターは高橋和貴。

 第1部は、まず山形にゆかりのある題材によるNHK大河ドラマのテーマ音楽から、千住明作曲の「風林火山」、池辺晋一郎の「独眼竜政宗」、大島ミチルの「天地人」、富田勲の「天と地と」。次に、映画でも山響が演奏を受け持っていた久石譲作曲の「おくりびと」。最後に伊福部昭の「SF交響ファンタジー」第1番。
 そして第2部に、小曽根真の自作自演による「ピアノ協奏曲《もがみ》」。

 編成も音響も壮大で賑やかで、ステージ上はぎっしりという感。これは当初3月に予定されていた演奏会とのことである。
 「天と地と」では琵琶の久保田晶子が協演、「おくりびと」でのチェロのソロは山響主席の矢口里菜子が弾いた。さらに大河ドラマのテーマの演奏の時には「やまがた愛の武将隊」なる鎧兜に身を固めた3人の武将(直江兼続の兜の前立は確かに目立つ)も登場して舞を演じ、良きローカル色を発揮する。因みにこの「愛の武将隊」は、観光PRを役目として2015年に結成されたものだそうだ。

 第2部では、今日の「目玉商品」たる小曽根真の「もがみ」全曲が演奏された。2003年に作曲され、彼自身のソロと指揮、山響の演奏で初演されたもの。何度か演奏されている由だが、今回は改訂版による演奏とのことであった。私は初めて聴く。
 「最上川舟唄」という民謡がモティーフとなっており、大編成のオーケストラにより複雑精密な響きが展開される。3楽章形式で、演奏時間も50分近い長さを持つ力作だ。最初にステージ下手袖で民謡が遠藤憲一の歌と高橋兼一の尺八で演奏され、続いてピアノとオーケストラによるコンチェルトの本編に入る。小曽根真がクラシック音楽のジャンルに真向正面から挑み、しかも成功を収めた例ということができよう。

 客席は市松模様の席割ながら、コンチェルトのあとにはスタンディング・オヴェーションも盛んな熱狂ぶり。「BRAVO」の文字の入った紙を掲げる人が多いので、用意してきているファンが結構多いんだな、と思ったら、実はそれは山響のタオルの由。
 山響は、「山響グッズ」としてタオルと手拭1本ずつを1セットとして販売したが、どうせならということでそのタオルに「BRAVO」の字を染め込み、時節柄活用できるようにしたのだという。

 コロナの飛沫感染防止対策として「ブラヴォー」は叫んでくれるなという要請は今や各ホールで行われているけれども、それをグッズ販売に結びつけるとは大したアイディアというべきであろう。それは完売したという。経済的な苦境を克服するための山響の懸命の活動は称賛に値する。
 7時31分の新幹線で帰京。

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