2024-02

2009・1・14(水)庄司紗矢香ヴァイオリン・リサイタル

  サントリーホール

 シューベルトの「ソナティナ第3番」で、主題とその確保を、あたかも歌曲で登場人物のダイアローグをさまざまな音色で描き分けるかのように演奏するやり方――かつてのグリュミオーなどはこれが実に巧かったものだが――庄司紗矢香も今やそれを自分なりの形で楽々と手に入れているようだ。

 この細やかなニュアンスの変化は、プログラムの最後に演奏されたベートーヴェンの「ソナタ第7番」でも発揮されており、第1楽章などでは「アレグロ・コン・ブリオ」の裡に隠されていた叙情味が浮き彫りにされる。世の中にはベートーヴェンの演奏に際して力感を重視するあまり、pをもフォルテにしてしまう演奏が多いものだが、彼女はスコア通り、pはまさにpで再現する。全体にソット・ヴォーチェのカンタービレが多用されているようなイメージになるのもそのためかもしれない。
 いずれの曲でも、気心知れたパートナー、イタマール・ゴランが創る重心豊かな音との呼吸の合った対比が興味深い。彼女の音色には、以前よりも更に艶麗さが増したようだ。

 2曲目におかれていたのは、ブロッホの「ソナタ第1番」。2人が織り成す轟然たる力感と雄弁な表情が見事。今夜の演奏の中で最も強烈な印象を与えられたのは、この曲であった。
 3曲目には彼女の委嘱で昨年夏に作曲されたアヴナー・ドルマンの「ソナタ第2番」。プログラムに作曲者自身が書いている御託宣ほどには面白い曲ではないが、第1楽章で中央アジア的な旋律がしばしば顔を覗かせるのにはニヤリとさせられる(この人の作品は、オーケストラ曲の方が私は好きだ)。
 アンコールは、チャイコフスキー、クライスラー、ショスタコーヴィチなどの小品5曲。

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