2024-02

2021・4・8(木)新国立劇場「夜鳴きうぐいす」「イオランタ」3日目

       新国立劇場オペラパレス  7時

 ストラヴィンスキーの「夜鳴きうぐいす」と、チャイコフスキーの「イオランタ」のダブルビル上演。いずれも新演出で、大野和士芸術監督と新国立劇場が力を入れたプログラムであったと思う。
 当初予定の多くの外国勢キャストが来日できていたら、さぞや個性の際立った上演となったことだろう。とはいえ、代役に立った日本勢も、慣れないロシア語歌詞を何とか克服して、それなりの成果を上げていたことは確かだと思われる。
 
 演奏は、高関健指揮の東京フィルハーモニー交響楽団と新国立劇場合唱団。
 主な歌手陣は、「夜鳴きうぐいす」が三宅理恵(鶯)、伊藤達人(漁師)、針生美智子(料理人)、吉川健一(中国皇帝)、ヴィタリ・ユシュマノフ(侍従)、山下牧子(死神)他。
 「イオランタ」が妻屋秀和(ルネ王)、大隅千佳子(イオランタ)、井上大聞(ロベルト公爵)、内山信吾(ヴォデモン伯爵)、ヴィタリ・ユシュマノフ(エブン=ハキア)、山下牧子(マルタ)、村上公太(アルメリック)、大塚博章(ベルトラン)他。

 私の考えでは、澄んだ声で鶯を歌った三宅理恵、豊かな声でイオランタを歌った大隅千佳子、滋味豊かに死神と乳母マルタとを歌った山下牧子ら、女声陣が気を吐いていたように感じられた。
 男声陣ももちろん頑張っていたけれども、ただし━━男声主役の中には、誰とは言わないけれども、高音が全然出ないのみならず声の不安定なテノール歌手もいて、いやしくも日本の国立歌劇場たるもの、いくら代役でも一定の水準以上の歌手を厳選して貰わなければ日本のオペラ界の発展のためになるまいとまで思わされたのも事実であった。

 指揮の高関健も代役ではあったものの、こちらはオーケストラを巧くまとめていて、「イオランタ」でのチャイコフスキー晩年の色彩感やカンタービレを率直に表出していたと思う。

 今回のプロダクションでは、ヤニス・コッコスの演出・舞台美術・衣装が注目されていた。特に舞台美術にはメルヘン的で色彩的な面白さがあり、皇帝の天蓋の上にのしかかる巨大な死神の不気味な姿など、派手な見せ場を備えていたようだ。ただ、ドラマとしての演技の面ではかなりあっさりしたもので、リアルな設定のはずの「イオランタ」においては、とりわけラストシーンの平凡さには失望させられた。

コメント

初日を拝聴、拝見しました。

 上演の多い作品と比べて準備も大変だったでしょうが、両作品とも良い仕上がりだったと思います。吉川、妻屋、ユシュマノフ3氏の充実感、山下氏の、人物描写の域まで役をよく掘り下げて表現を成功させた2役の好演、そして、「イオランタ」の大隅氏の安定感、存在感、表現力‥とベテランの方々に聴き所が多かったと思います。東条先生もおっしゃる通り、演出はあっさり感もありましたが、音楽、演技双方を良いバランスで、俯瞰的に、鑑賞しやすく構成していたように思いました。
 加えて、上演の少ない両作品を、高関先生が、重すぎず、あっさりし過ぎず、聴衆に聴きやすく、歌手の歌唱にもよく配慮した演奏で、好演をリードしていたことが印象深かったです。
 ここ1年の大変な状況の中、こうした上演がレアな作品での成功に加え、静岡響、シティ・フィルなどを中心に、数々の好演を導いている、高関先生のご活躍、充実、安定感は、個人的に、特筆すべき素晴らしさがある、と考えております。

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