2024-02

2009・1・23(金)上岡敏之指揮 読売日本交響楽団定期

  サントリーホール

 上岡敏之はこれまで何度も読売日響に客演しているが、回を重ねるごとに、演奏に表われる彼の感情と形式感とが一体化して来ているように思える。そして読売日響も、上岡が突きつける個性的な音楽に対し果敢な挑戦を行ない、自らの多様な表現力を誇示してみせているように感じられる。

 この日、彼らが創り出した音楽は、両者の実力と気迫が正面から激突して生れた果実だったとも言えよう。マーラーの《アダージョ》での、随所に現われる強烈なアクセントや、破壊的なほど刺激に富んだ最強奏と最弱音との対比による表現主義的なイメージはその一例であり、またヨゼフ・シュトラウスの《隠された引力~デュナミーデン》およびR・シュトラウスの《ばらの騎士》組曲における変幻自在なテンポが生む流動感と緊迫感も同様である。

 更に完璧だったのは、フランク・ブラレイをソリストに迎えたモーツァルトのピアノ協奏曲第23番であった。ブラレイが颯爽と突入した終楽章では、清冽なソロと、歯切れのよいオーケストラとが見事に対決していたが、特に最後の数小節で上岡は弦を鮮やかに盛り上げ、あたかもオペラのクライマックスにも似た終結感を生み出したのであった。

 これほど強烈な手ごたえを感じさせた演奏は、今年になって最初のものである。ツワモノぞろいの読売日響をよくぞあそこまで「引きずり回した」ものであり、また読売日響の方もよくぞあそこまで応えて見せたものだ。そこがお互いの相性の良さなのだろう。

 満員に近い客席、上岡に向かって飛ぶ拍手とブラヴォー、サインを求める長蛇の列、やっと上岡の日本での人気も確立されたようで、うれしいことである。

  音楽の友3月号演奏会評 

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