2024-03

2021・7・26(月)フェスタサマーミューザKAWASAKI
カーチュン・ウォン指揮東京都交響楽団

     ミューザ川崎シンフォニーホール  3時

 シンガポール出身の指揮者、カーチュン・ウォンの並外れた力量を存分に堪能できた演奏会。東京都響への客演はこれが初めてだとのことだが、その初顔合わせのオーケストラをさえ、これほど見事に制御することができるとは驚異的である。
 今日のプログラムはリストの交響詩「前奏曲」、チャイコフスキーの「ロココの主題による変奏曲」(ソリストは岡本侑也)、ドヴォルジャークの「新世界交響曲」。アンコールはドヴォルジャークの「スラヴ舞曲Op.46-8」。コンサートマスターは山本友重。

 圧巻は、やはり「新世界交響曲」だった。これほど「濃い」演奏の「新世界」はめったに聴けない類のものではないか? 
 何しろ、ウォンの創り出す演奏の起伏が大きい。フレーズとフレーズを結ぶ楽句を大きく膨らませたり、そのテンポを一瞬加減したり、非常に細かく神経を行き届かせて音楽を構築する。まかり間違えば嫌味な誇張になるところだが、ウォンのそれは、作品の音楽の本来のうねりと完璧に合致しているので、結局、納得させられてしまうというわけである。

 両端楽章では弦楽器のトレモロが強力で、その上にホルンの強奏が宏大に拡がり行くのを感じさせるあたりも、音の構築が非常に巧い証拠であろう。第2楽章も、これほど自然な情感にあふれた演奏はなかなか聴けないもので、それはあたかも果てしない大草原に美しく流れ行く哀歌のよう。そして最終楽章では、ディミヌエンドを伴った最後のフェルマータを、スコアの指定通り長く引き伸ばし、まさに余情たっぷりに結んで行った。

 この「新世界」には驚嘆した。濃密で微細で、しかも力感と緊張感を満載したその音楽づくりは、集中して聴いていると些か疲労感を与えられる類の演奏だが、それだけに強烈な個性を備えた指揮であることを意味するだろう。

 最初のリストの「前奏曲」も巨大な起伏感を備えた演奏だったが、曲が曲だけに、何か物々しさを感じさせないでもなかった。演奏として美しかったのはやはりチャイコフスキーの変奏曲で、ここでは岡本侑也の瑞々しく美しい音色が映えに映えた。彼がソロ・アンコールで弾いたカザルス編曲の「鳥の歌」も、彼の爽やかな感性が十二分に発揮された演奏と言えたであろう。

コメント

又もやオンライン配信!

東京都響さんと、カーチュン.ウォンさんの饗演。私、カーチュン.ウォンさんの指揮は初めてなのですが、ダイナミックな指揮ですね。「新世界より」は、お見事でした。会場で拝聴したかったです。ソリストの岡本さんの音色も素敵でした。このフェスタサマーミューザのカメラワーク、いいですね!バックステージスペシャルビューで、舞台袖口にいらっしゃるオケの方々の表情が映ります。皆様、ユーモラスで、いい表情なさってました!

カーチェン.ウエイン

大阪響とのラフマニノフ2番。兵庫芸文管とのマーラ1番。
6月のセンチュリー響定期でのRシュトラウスホルン協奏曲2番,指揮棒無しの振りは師事したマズアを思い出させた。
指揮棒を持ってのブラームス4番、久しぶりにたっぷりとした、若々しいブラームスを味わった。弦を歌わせる時の宙を舞うような左手の表情とクレバーな右手。すでににニューヨークフィルも客演しているようだが。12型。このオケとの組み合わせは前者を上回る。

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