2023-11

2021・10・10(日)沖澤のどか指揮読売日本交響楽団

        東京芸術劇場 コンサートホール  2時

 わが国若手指揮者グループの先頭集団の、おそらくはそのトップに立つ沖澤のどかが読響に客演。彼女はこれが読響デビューだという。強豪オケ相手に自信満々、堂々たるスケール感に溢れた音楽を創り出したのは流石だ。

 今日、彼女が指揮したのは、シベリウスの「フィンランディア」、ベートーヴェンの「ピアノ協奏曲第1番」(ソリストはペーター・レーゼル)、最後にシベリウスの「交響曲第2番」。

 古来、女性指揮者の音楽はダイナミックで激しいものという例が多いが、沖澤のどかの指揮もその例に漏れず、特にシベリウスでは金管群を激烈壮大に咆哮させ、剛直で豪快で切れのいいサウンドを轟かせた。
 金管群の力感は物凄いが、読響のことゆえ音に濁りはなく、また弦楽器群(コンサートマスターは小森谷巧)も分厚く強大な響きを備えているため、アンサンブルのバランスは完璧だ。

 ただ、愛国の闘争の詩ともいうべき「フィンランディア」はともかくとしても、交響曲の方は表現が激し過ぎる傾向無きにしも非ず、か。フィンランド系の指揮者だったら、ここまではやらないだろう。小柄な体躯の日本人女性指揮者がこういう剛毅で攻撃的なシベリウス像を構築するということは興味深い。

 コンチェルトでの彼女の指揮も、揺るぎない。ソリストのペーター・レーゼルも、いかにもドイツのベテランらしく、何の衒いも、飾り気も、小細工もなく、正面から真摯にベートーヴェンを構築する。作品の素晴らしさが率直に再現されている。ソロ・アンコールは、ベートーヴェンの「ソナタ第10番」の第2楽章。
 なお彼は、今回が最後の来日になるとのことだ。寂しいが、13日のリサイタルでもう一度じっくり聴けそうだ。

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