2024-03

2009・1・29(金)ペーター・シュナイダーと東京フィルの「指環」

  サントリーホール

 ペーター・シュナイダー指揮の東京フィル、先日とは段違いに呼吸が合って来ている。

 前半のベートーヴェンの第4交響曲は、久しぶりに聴く「よき時代のドイツ風ベートーヴェン」(これまた曖昧な言い方だが)と言ったらいいか、柔らかくスケールの大きい、しかも重心の低い、どっしりした音楽となった。内声部はたっぷりと響き、音の密度も非常に高い。倫理的で高貴な風格を持ったベートーヴェン像とも言うべきか。

 後半には「ニーベルングの指環」抜粋――例のヘンク・デ・フリーガーが編曲した「オーケストラル・アドヴェンチャー」というメドレー版である。
 ベテランのシュナイダーは、下手をすればモンスター的なイメージになりかねないこの長大な曲を、さすがに巧くまとめてくれた。少し職人的な要領のよさはあるが、最大の強みは、やはり長年ワーグナーを指揮して来たことで身についたその独特の「味」だろう。
 なにより、長い全曲の最後、「神々の黄昏」を締め括る「救済の動機」が、まさに終着点のイメージを感じさせ、その瞬間に「ラインの黄金」冒頭からここまでの長い出来事を一望に回顧する思いを抱かせたこと。これは、私には今回が初めての体験だった。過去にもこの編曲版はエド・デ・ワールトの指揮などによりナマで二度ばかり聴いたことがあるが、そのいずれの時にもこんな感情は起こらなかった。

 全曲冒頭、ホルンの「生成の動機」の音量が非常に大きすぎ、続いてチェロ他に現れる「ライン河の動機」が全く聞こえなかったことにはすこぶる疑問があるけれども、それ以外は概して聴き応えのある演奏だった。個人的な好みからいえば、「ジークフリートの葬送行進曲」をあのような速いテンポで演奏することには絶対反対である――とはいえこれは解釈の違いなのだから、文句を言っても始まるまい。
 落ち着いた指揮振りのシュナイダーのもとで、東京フィルは阿修羅のごとき力演。「ジークフリートの角笛」でのホルンのソロも見事だった。オペラのピットでも、いつもこういう演奏をしてくれれば文句ないのだが――とにかくお疲れ様でした、いい演奏でした。

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