2024-02

2022・3・2(水)武満徹:「弧(アーク)」

      東京オペラシティ コンサートホール  7時

 作品名「弧(アーク)」をタイトルにしたオール武満プロのコンサート。
 演奏されたのは、前半に「地平線のドーリア」「ア・ウェイ・アローンⅡ」「弦楽のためのレクイエム」。後半に「弧(アーク)」の第1部と第2部の全6曲。
 カーチュン・ウォンが東京フィルハーモニー交響楽団を指揮、「弧」では高橋アキがピアノを弾いた。

 このホールが「タケミツメモリアル」という名称を持っているのは、周知の通り。それゆえ、武満の作品のみによる演奏会をこれまでにもいくつか主催している。が、━━そのすべてを聴きに行ったわけではないが━━今日の演奏会は、これまであまり気がつかなかったほど、数多くの聴衆を集めていた。
 これが武満徹の人気の真の高まりと見ていいのかどうかは一概に言い難いけれども、今回は公演間近に朝日新聞に記事が出た途端、チケットの売れ行きが俄然伸び始め、当日売りもかなり多く出たという話だから、少なくとも彼の音楽に興味を持つ人々が以前より増えて来ていることは確かなのであろう。

 演奏も、すこぶる白熱的であった。シンガポール出身で、近年日の出の勢いにあるカーチュン・ウォンが、武満作品を熱心に研究して指揮に臨んだということも興味深く、その指揮がまた極めて鮮烈だった。
 日本人指揮者が手がける武満ものの演奏とは趣を異にし、メリハリの強い、画然とした隈取りの演奏だったことは予想通りで、それだけに音楽も強靭さを増していた。

 前半の3曲のうち、鋭角的な作風の2作のあとに、初期の「弦楽のためのレクイエム」を置くという、何とも意表を衝いた選曲構成だったが、そのためか「レクイエム」における旋律的な性格が異様に際立つという面白い効果も生んでいたようだ。

 後半での、図形楽譜による演奏者の自発的な即興も含めた「弧」の演奏は、おそろしく鋭く挑発的かつ攻撃的で、一種の恐怖感さえ覚えさせるほどのスリリングな趣きさえ出していた。これも日本人指揮者が手がけた時の演奏スタイルとはかなり違う特徴で、武満の音楽が持つ多様性を浮き彫りにする演奏だったといえるだろう。ここでは、高橋アキが久しぶりに「現代音楽の闘士」といった演奏を聴かせてくれたのは嬉しい。

 ウォンは、演奏が終るごとにスコアを聴衆に掲げてみせ、作曲者への敬意を自ら表していた。全部のプログラムが終った後に、彼は日本語で謝礼のスピーチを行なったが、これはマイクを使って欲しかった。

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