2024-03

2022・3・5(土)川瀬賢太郎の神奈川フィル常任指揮者退任公演

     神奈川県民ホール 大ホール  2時

 8シーズンに及んだ常任指揮者としてのポストをこの3月定期で終える川瀬賢太郎が、情熱的な指揮で有終の美を飾った。神奈川フィルも総力を挙げた充実の演奏。聴衆も温かい熱烈な拍手で彼を送り出した。
 プログラムは、前半に小曽根真をソリストに迎えたラフマニノフの「ピアノ協奏曲第2番」。後半にはマーラーの「交響曲第1番《巨人》」。コンサートマスターは石田泰尚。

 ラフマニノフのコンチェルトでは、ソリストの小曽根真が本領を発揮、原曲に忠実な構成を採りながらも、随所に即興的なニュアンスを溢れさせ、ある個所ではジャズ的なアドリブを挿入するなどして、若い指揮者との協演ならではの、愉しいパフォーマンスを繰り広げた。
 これは私も日頃から待ち望んでいた「小曽根節」だったのだが、ベテラン指揮者との協演ではさすがにやり難いのか、このところほとんど聴くことができなかっただけに、我が意を得たり、という思いであった。

 小曽根は演奏のあと、シャンパンかワインか遠目には判らないけれども、祝いのボトルのようなものを川瀬に贈呈し、ソロ・アンコールとして「My Tomorrow」を弾いた。

 マーラーの「巨人」では、彼の指揮はまさに正面から作品に取り組んだ堂々たるものと言えたであろう。解釈によっては浮き彫りになるマーラー特有の神経質さも苛立たしさも、川瀬の指揮では、青年作曲家の意気天を衝く気魄といったものの陰に消え、爽やかな力感が後味として残る。
 神奈川フィルの手がけるマーラーも、「細身の印象」などは昔の話、厚みと重量感にあふれて壮大な世界を形づくっていた。ただし、最後の頂点でのホルン群には、音量の点でもう少し頑張ってほしかったという感は残る(第5トランペットの方が目立ったというのは具合が悪いのでは?)。

 いずれにせよ、神奈川フィルをここまで燃え立つオーケストラに変身させた川瀬賢太郎の功績は、讃えられてしかるべきであろう。演奏終了後のスピーチで川瀬は聴衆に向かい、来月からは常任指揮者にマエストロ沼尻竜典が就任することを改めて告げ、神奈川フィルへの変わらぬ支持を呼びかけた。川瀬自身はこの4月より新たに札幌交響楽団の正指揮者に就任する。

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

«  | HOME |  »

























Since Sep.13.2007
今日までの訪問者数

ブログ内検索

最近の記事

Category

プロフィール

リンク

News   

・雑誌「モーストリー・クラシック」に「東条碩夫の音楽巡礼記」
連載中