2024-03

2022・3・18(金)東京・春・音楽祭開幕 ムーティ指揮

      東京文化会館大ホール  7時

 「東京・春・音楽祭2022」が、リッカルド・ムーティ指揮東京春祭オーケストラ(コンサートマスター・長原幸太)の演奏で開幕した。
 この2年、新型コロナ蔓延のあおりを受け、予定通り開催できない演奏会も少なくなかったこの大音楽祭だが、今年こそはスムースに進みますように。

 開幕演奏会の今日は、モーツァルトの「交響曲第39番変ホ長調」と、シューベルトの「未完成交響曲ロ短調」および「イタリア風序曲ハ長調」というプログラム。
 二つの交響曲では反復指定をすべて順守していたので、特に「39番」は演奏時間も35分を超える長さとなったが、温かく柔らかい音楽づくりはこれまでの「ムーティのモーツァルト」のスタイルと共通したものだ。

 だが、昨年の「マクベス」における峻烈無比の演奏で私たちを驚かせたムーティは、やはり今回も「未完成交響曲」で衝撃的な世界を創り出してみせた。
 第1楽章展開部の頂点で、演奏が異様に量感を増して高潮し、デモーニッシュな様相を帯び始めたとみるや、ティンパニの怒号も凄まじく、恰も激しい怒りの爆発にも似た音楽になって行った。もともとこの個所は全曲の中で音楽が最も昂揚し、激しく高鳴るくだりではあるのだが、このムーティの指揮のように、所謂「シューベルトの交響曲の演奏スタイル」を遥かに超え、恐怖感さえ起こさせるほどの激烈な頂点を形づくった演奏は、これまで多分、如何なる指揮者も試みたことはないのではないか。それはまさに、息を呑ませる物凄さであった。

 欲を言えば、ティンパニの高いFis音の強打が、あのような「板をぶち叩く」が如き音でなく、もっと透徹した音であったなら、と思うのだが‥‥。

 そして、第2楽章の終結では、演奏はまるで永遠の平和を願う祈りのような情感をこめて結ばれた。私がこれまで数え切れぬほど聴いて来た「未完成交響曲」の中でも、今日のムーティ指揮によるそれは、最も異色の演奏であったことは間違いない。
 オーケストラのアンサンブルなど技術的な細かい部分の問題は、明日の演奏の際には解決できているだろう。

 なおムーティは、演奏前に、平和をアピールする主旨のスピーチを行なった。演奏会はオンラインで配信されていたとのことである。

コメント

19日の未完成、十年くらい前にウィーンフィル/エッシェンバッハの来日公演で聴いたものに次ぐ名演だったと思います。ただ、クラリネットが実力ギリギリかそれを超えるピアニッシモ表現に挑戦していてそれがどう聴衆に届いたかは感想が分かれるところかと。ヒヤヒヤしながら聴いた人も多かったのでは?結果的には危ない橋を見事にわたり切りました。パチパチ

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