2024-03

2022・3・23(水)川瀬賢太郎指揮OEK東京公演

      サントリーホール  7時

 オーケストラ・アンサンブル金沢が、常任客演指揮者・川瀬賢太郎を擁して東京公演。
 杉山洋一(同楽団コンポーザー・オブ・ザ・イヤー)の「揺籃歌(自画像Ⅱ)」(17日に金沢公演で世界初演されたもの)、ショパンの「ピアノ協奏曲第1番」(ソリストは亀井聖矢)、メンデルスゾーンの「交響曲第3番《スコットランド》」を演奏。コンサートマスターはおなじみのアビゲイル・ヤング。

 ホワイエに入ると、正面いっぱいに、一般聴衆よりも多いのではないかと錯覚を起こさせるくらい、ずらりと並んだスポンサー関係(?)の黒服の男たち。その大勢の男たちが、入って来る客を黙ってじっと見つめているのだから、感じの悪いことこの上ない。━━だがこのブログの昔のページを繰ってみたら、2010年から2015年くらいにかけ、OEK東京公演のたびに毎回それについてブツクサ書いており、そのうちついに諦めてしまったことを思い出した(たとえば☞2015年3月24日の項)。

 演奏。川瀬賢太郎がOEKを指揮するのを聴いたのは、昨年秋(☞2021年9月12日)以来だ。あの時は本拠地の金沢のホールだった。だが今回、このサントリーホールで「スコットランド交響曲」をじっくり聴いてみると、流石にこれまで岩城宏之や、井上道義や、ミンコフスキの指揮で聴いたOEKとは、がらり違った音になっていたのが判る。

 その違いを、何と形容したらいいか? 喩えて言うなら、今回はデジタルではなくアナログ的な音、モダンな現代建築でなく、何故か古式な木造家屋をイメージさせるような音色━━。川瀬賢太郎が他のオーケストラを指揮した時のサウンドがそういう音だったという感覚は、これまで私にはなかったから、なぜ今回のOEKとの演奏だけがこういう音になったのか、しかとは判断し難い。
 いずれにせよ、弦8型で臨んだOEKは、すこぶるダイナミックに、力感豊かに轟きわたっていた。こういうサウンドも、これまで聴いて来たOEKとは、些か異なるところである。

 杉山洋一の「揺籃歌」は、作曲者のノートによれば、中国・英国・南アフリカ・ブラジル・インドの「寝かせ歌」を素材とし、新型コロナ犠牲者への悼みと、医療最前線で闘う関係者への畏敬の念とを描いた作品の由。重苦しい威圧感を持つ曲想と、祈りにも似た曲想との対比が印象深い。
 ショパンのコンチェルトを弾いた亀井聖矢は、桐朋学園大学在学中の21歳。清新な息吹を感じさせる。

 「スコットランド」が終ったあと、川瀬とオーケストラがアンコールを始める素振りを示したので、もしやまたバッハの「アリア」をやるのでは、と予感がしたが、やはりそうだった。東日本大震災以降、この「アリア」ばかり聴く機会が、あまりに多すぎる。同じ追悼の音楽でも、もっと他にもあるだろうに。

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