2024-03

2022・3・24(木)河村尚子の「シューベルト プロジェクト第1夜」

       紀尾井ホール  7時

 河村尚子が披露してみせた、素晴らしいシューベルトの一夜。「即興曲変ロ長調Op.142―3」、「ソナタ第18番ト長調《幻想》」、「3つの小品」からの「第1番」、「ソナタ第19番ハ短調」というプログラム。

 何より驚かされたのは、作品の性格により大小の差こそあれ、演奏全体にあふれるアグレッシヴで、パッショネートで、強靭な意志力を感じさせるシューベルト像の出現だ。
 これはもはや、「良きウィーン」のビーダーマイヤー時代のシューベルトでもなければ、「シューベルティアーデ」のサークルの中で生きたシューベルトでもない。また、夢見るような気持のいい世界に浸っているシューベルトでもない。むしろ、ベートーヴェンの後継者としての力を満々と漲らせたシューベルト像でもあるだろう。

 先日、リッカルド・ムーティが指揮した「未完成交響曲」は、所謂ロマンティックで感傷的なシューベルト像を打破したものだったが、今日、河村尚子が演奏したピアノ曲の数々もまた、新鮮なシューベルト像のイメージを感じさせてくれる素晴らしいものだった。
 なお、アンコールとしては、「即興曲Op.142-2」と、「糸を紡ぐグレートヒェン」が演奏され、最後にシューベルトでなくバッハの「羊は安らかに草を食み」が演奏されてコンサートは閉じられた。

 彼女のこの「シューベルト プロジェクト」は全2回の企画だそうだが、こうなると、「第2夜」(9月13日)も絶対聴き逃せないという気持になる。

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