2024-03

2022・3・26(土)高関健指揮東京シティ・フィル マーラー「9番」

     東京オペラシティ コンサートホール  2時

 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団の第350回定期。マーラーの「交響曲第9番」が取り上げられた。

 シティ・フィルは、特に定期では最近良い演奏を聴かせてくれているので、大いに期待していたのだが、これはまさに、期待以上の素晴らしさだった。敢えて言えば、この演奏は、常任指揮者・高関健とシティ・フィルがついに到達し得た理想郷だったのではあるまいか。

 高関がここで創り出したのは、私が感じた範囲で言えば、「神経質なマーラー」ではない。また、「疲れ切って安息を求め、彼岸に顔を向けたマーラー」でもない。最後まで「生」を肯定し、強靭な意志を失わなかった音楽家マーラーの姿を写し出した演奏だった、といえようか。この言い方は誇張が過ぎたかもしれないが、その演奏に表れていた骨太で厳しい表情は、この交響曲から厭世的なものを除外させていた━━少なくとも薄めさせていたように感じられたのである。

 シティ・フィルの演奏も、見事に昂揚していた。ヴィオラ・セクションをはじめ、弦の強靭な力と緊迫感には驚かされるほどだった。それが特に第4楽章での、大波の如き弦の主題の個所で素晴らしい効果を発揮させていたことは、改めて言うまでもない(コンサートマスターは戸澤哲夫)。管楽器群、打楽器群も好演していた。

 全体に豊麗とか壮麗といったような、美しさを求めるものでなく、むしろごつごつした硬質な音響の構築だったのだが、それがまた音楽を厳しい表情とするために役立っていただろう。シティ・フィルをここまで強靭なオーケストラに引き上げた常任指揮者、高関健の力を讃えたい。

 この日は、シティ・フィルの定期としては比較的珍しく、ほとんど満席に近い盛況ぶりだった。盛大で長いカーテンコールも、飯守泰次郎がワーグナーものを指揮した時以来のものだったであろう。
 客席には、男性客が圧倒的に多かった━━ということは、やはり「1回券」のお客さんが多かったということかもしれないが、シティ・フィルの定期の客席の埋まり具合が上り坂の傾向にあるように感じられる現在、これがいっそうの定期会員増加に繋がれば、と思う。

コメント

高関さんとシティフィルの演奏を聴くと、私のマーラーに対する苦手意識がどんどん消えていきます。
プログラムノートをまじめに読むことも少ない不勉強な身ですが、この交響曲第9番は心身の疲れや緊張をほくし、音楽が体にすーっととけこんでくる不思議な感覚があり、この演奏を聴けたことが本当に幸せだと感じた時間でした。P席で聴いていても管弦打各パートが明瞭でありながら素晴らしい調和でも聞こえてくるところ、楽団員の力が思う存分発揮されていることもわかり、高関さんの統率力に感服しました。
私にとって、10年間定期会員を継続して聴きつづけたご褒美だと思える素晴らしい演奏会でした。

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